バイク整備士とは?
バイク整備士は、オートバイや原動機付自転車の点検・整備・修理を専門に行う職業です。
正式名称を二輪自動車整備士といい、国土交通省が所管する国家資格として位置づけられています。
主な仕事内容は、次の3つに分けられます。
- 点検・整備
法律で定められた定期点検の実施、納車前の車両確認 - 部品交換・修理
エンジン、ブレーキ、タイヤ、オイルなど消耗品の交換、故障箇所の修理 - カスタマイズ
顧客の要望に合わせたパーツの取り付け、車両のカスタム
無資格でもタイヤ交換やオイル交換といった軽作業は担当できますが、エンジンやブレーキの分解整備、車検に関わる作業は有資格者が責任を負う決まりになっています。
資格を持たずに整備工場で働く人は整備工や工員と呼ばれ、整備士とは区別して扱われます。
任される仕事の範囲を広げ、待遇を上げていくうえで、資格取得は避けて通れない道といえるでしょう。
バイク整備士の資格を取得する方法
資格の取り方は、大きくわけて2通りに分かれています。
国土交通大臣が指定した養成施設(専門学校など)に通うルートと、バイクショップなどで働きながら実務経験を積むルートです。
比較項目 | 学校に通うルート | 働きながら取得するルート |
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2級取得までの期間 | 2年 | 制度上の最短で2年6か月 |
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費用の目安 | 学費として2年間で200万〜300万円 | 学費は不要(講習費用のみ) |
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在学・在職中の収入 | 原則なし | 給与を得ながら学べる |
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実技試験 | 課程修了により免除 | 整備振興会の技術講習修了により免除 |
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学べる内容 | 体系的な理論と実習 | 勤務先で扱う車種・業務が中心 |
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どちらを選んでも、最終的には国家試験の学科試験に合格する必要があります。それぞれのルートを詳しく見ていきましょう。
指定の学校に通って資格取得するルート
養成施設に入学し、2年間の課程を修了して2級を取得する進み方です。実務経験がない状態からでも、卒業と同時に2級二輪自動車整備士の資格を得られます。
取得までの流れは次のとおりです。
- 二輪整備コースのある専門学校などへ入学する
高卒以上の学歴で入学でき、2年制の2級二輪自動車整備士コースが主流です
- 2年間の課程を修了して卒業する
学科と実技のカリキュラムを履修します
- 国家試験を受験する
課程修了者は実技試験が免除されるため、学科試験のみを受験します
- 2級二輪自動車整備士を取得して就職する
バイクショップやディーラーへ、即戦力として入社できます
メリット
- 未経験から2年で2級に到達でき、実務経験を長く積む必要がない
- 実技試験の免除制度により、合格率が高く、確実に資格を取得しやすい
- 大手バイクメーカー系ディーラーや有名ショップへの就職実績があり、サポートも受けられる
デメリット
- 2年間で200万〜300万円程度の学費負担が発生する
- 二輪専門の学科・コースを持つ学校は全国的に数が限られる
- 平日昼間の通学が基本となるため、仕事を続けながらの両立は難しい
学費と通学時間を工面でき、一から体系的に整備技術を学びたい方に適した進み方です。
未経験から最短で2級を取りたい高校生や若手の転職者、待遇の良いメーカー系ディーラーへの就職を目指す方にも向いています。
実務経験を積んで資格取得するルート
バイクショップや整備工場に勤務し、現場で働きながら3級、2級と順に取得していく進み方です。収入を得ながら資格を目指せる点が特徴といえます。
取得までの流れは次のとおりです。
- 無資格・未経験でバイクショップなどへ就職する
整備補助や見習いスタッフとして働き始めます
- 実務経験を積んで3級を取得する
一般の学歴であれば6か月以上の実務経験で受験資格が得られます
- さらに実務経験を積んで2級を取得する
3級合格後、一般の学歴では2年以上の実務経験で受験資格が得られます
いずれの等級でも、各都道府県の自動車整備振興会が開催する自動車整備技術講習を受講・修了すると、修了後2年間は同じ種類の実技試験が免除されます。
講習は年2回開催され、平日夜間や日曜昼間のコースも用意されているため、働きながらでも通いやすい仕組みが整っています。
メリット
- 専門学校の学費がかからず、給与を受け取りながら資格を目指せる
※講習費用を負担する企業もあります - 整備技術に加えて、接客・販売・電話対応など店舗業務全般を早い段階で覚えられる
- 採用されればすぐにキャリアをスタートできる
デメリット
- 2級取得までに、試験日程を含めると3年前後の期間を要する
- 業務後の自習や、休日・夜間の講習通いによる時間的な負担がある
- 勤務先で扱う車種や日常業務の内容により、身につく知識に偏りが出ることがある
学費の準備や通学時間の確保が難しい方、社会人や他業種から今すぐバイク業界で働き始めたい方に適しています。
座学よりも実際の車両に触れながら学ぶ方が得意な方にも向いているでしょう。
バイク整備士の資格の種類は3つ

二輪自動車整備士は、扱える整備の範囲に応じて3つの等級に分かれています。
それぞれの内容を確認していきます。
参考:自動車整備士を希望されるみなさんへ_一般社団法人日本自動車整備振興会連合会
3級二輪自動車整備士
3級二輪自動車整備士は、二輪自動車や原動機付自転車の基本的な点検・整備・修理を行える国家資格です。
エンジンオイルやタイヤの交換、ブレーキやステアリングの基本調整などが対象で、二輪整備士としての基礎的な知識と技能を証明する入門的な位置づけになります。
大掛かりな修理を単独で行うことは法律で制限されており、2級の整備士の指示に従って作業を進める立場です。
受験に必要な実務経験は、学歴や学んだ課程によって異なります。
学歴・経歴 | 必要な実務経験 |
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中学・高校・大学卒業(学科は問わない) | 6か月以上 |
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機械・電気・電子に関する学科を卒業 | 3か月以上 |
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高校・大学の自動車科、自動車整備科を卒業 | 不要 |
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一種養成施設の2級・3級課程を修了 | 不要 |
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2025年7月8日に自動車整備士技能検定規則が改正され、3級の実務経験は従来の1年以上から6か月以上へ短縮されました。
2級二輪自動車整備士
2級二輪自動車整備士は、二輪自動車のエンジンやトランスミッションの分解整備をはじめ、高度な点検・修理・故障診断を行える国家資格です。
3級と比べて整備できる範囲が大きく広がり、バイクショップや整備工場で一人前の整備士として働くための標準的な資格とされています。
車検に関わる最終検査や、整備主任者・工場長といった役職への昇進要件になっているケースも少なくありません。
多くの企業で資格手当の対象となるため、収入面でも取得の効果が表れやすい等級です。
受験資格は、原則として3級を取得したうえで、学歴に応じた実務経験を満たす必要があります。
学歴・経歴 | 必要な実務経験 |
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中学・高校・大学卒業(学科は問わない) | 3級合格後2年以上 |
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大学・高専で機械、電気、電子に関する学科を卒業 | 3級合格後1年以上 |
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高校で機械・自動車に関する学科を卒業 | 3級合格後1年4か月以上 |
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一種養成施設の2級課程を修了 | 不要(実技試験も免除) |
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2級についても2025年7月の改正で実務経験が短縮され、一般の学歴の場合は3級合格後3年以上から2年以上に変わりました。
働きながら2級を目指す方にとって、以前より到達までの期間が短くなっています。
1級二輪自動車整備士
1級二輪自動車整備士は、制度上は最上位に規定されているものの、これまで一度も国家試験が実施されておらず、取得者が存在しない資格です。
試験が行われてこなかった背景には、バイクの整備はエンジンの脱着や分解整備を含めてほぼすべての作業が2級で対応できるため、現場での必要性が高くならなかったことがあります。
そのため、バイクショップやディーラーでプロとして働き、将来的に独立を目指す場合も、事実上の最上位である2級二輪自動車整備士の取得が目標になります。
なお、この資格制度は2027年に大きく変わる予定です。
国土交通省は自動車整備士技能検定規則を改正し、1級・2級・3級それぞれを「総合」と「二輪」の2区分へ整理します。
総合はガソリンエンジン、ジーゼルエンジン、シャシに加え、電子制御装置と二輪の内容を含む資格になります。
新しい制度による登録試験は2027年3月の学科試験から始まり(1級は2028年3月から)、2028年3月までは現行制度の試験と並行して実施される予定です。
これから受験する方は、自分がどちらの制度の対象になるかを、受講する養成講習の実施機関に確認しておくと安心でしょう。
参考:自動車技術の進化に対応する自動車整備士の育成を促進します~自動車整備士技能検定規則の一部改正について
バイク整備士についてよくある質問
資格取得を検討するうえで、就職先や収入、未経験からの挑戦について疑問を持つ方は少なくありません。ここでは3つの質問に回答します。
バイク整備士の就職先は?
バイク整備士の勤務先は、大きく4つのタイプに分かれます。
メーカー系正規ディーラー
ホンダ、ヤマハ、スズキ、カワサキのほか、BMW、ハーレーダビッドソン、ドゥカティなど海外メーカーの専門店。最新モデルの専門知識と高い技術が身につきます。
大手バイク販売チェーン
レッドバロン、バイク館、バイク王など。仕入れた車両の点検や納車整備、販売が中心で、業務量が安定しています。
バイク用品・パーツ専門店
2りんかんやナップスなどのピットスタッフ。部品交換やカスタムがメインで、未経験から応募できる求人も見られます。
地域密着型の個人経営ショップ
小規模な販売・修理店。顧客との距離が近く、修理からカスタムまで幅広い作業を裁量大きく経験できます。
勤務先の規模や業態は、収入や身につくスキルに直結します。
輸入車ディーラーのように専門性を高めやすい職場もあれば、個人ショップのように幅広い業務を任される職場もあるため、自分が目指す働き方に合わせて選びましょう。
バイク整備士の年収は?
A.バイク整備士の平均年収は、およそ320万〜400万円です。
国税庁の民間給与実態統計調査による全産業の平均年収約478万円や、日本自動車整備振興会連合会が公表する自動車整備士全体の平均年収約426万円と比べると、やや低い水準にあります。
年収は実務経験の長さと保有資格に応じて上がっていきます。
経験・年代 | 年収の目安 | 特徴 |
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未経験・20代 | 240万〜300万円 | 無資格や3級取得者が中心。アシスタント業務から開始 |
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経験者・中堅 | 300万〜400万円 | 2級を保有し、主要な整備を一人で完結できる |
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10年以上のベテラン | 400万〜600万円 | 自動車検査員の資格保有者や工場長などの役職者 |
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年収を左右するのは、地域と会社の規模です。
求人数の多い大都市圏では基本給が高く設定される傾向にあり、教育体制や賞与制度が整った大手ディーラーは初年度から安定した収入を得やすくなっています。
2級の取得により月額5,000円〜20,000円程度の資格手当が支給される企業も多く、収入アップに直結します。
年収の内訳やメーカー別の給与例は、こちらの記事で詳しく解説しています。
関連記事:バイク整備士の平均年収はいくら?収入アップのポイントや有名メーカーの給与例も解説
バイク整備士は未経験でも目指せる?
A.未経験からバイク整備士を目指すことは十分に可能です。
無資格・未経験の応募を歓迎するバイクショップや用品店は各地にあり、入社後に3級から順に取得していく流れが一般的になっています。
近年は整備業界全体で人材が不足しており、資格取得支援制度を設けて講習費用を全額負担する企業も増えました。
制度の有無によって、資格取得までにかかる自己負担額は大きく変わります。
一方で、求人票からは資格取得支援の実態や昇給モデルまで読み取りにくいのが実情です。
バイク業界の求人は詳細な作業環境が公開されていないケースも多く、入社後にイメージとの違いに気づく例も見られます。
そこで有効なのが、整備士に特化した転職エージェントの活用です。
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まとめ
バイク整備士として働くには、二輪自動車整備士の資格取得が前提になります。
等級は3級・2級・1級の3種類ですが、1級は試験が実施されていないため、実質的な目標は2級二輪自動車整備士です。
取得ルートは、専門学校に2年間通う方法と、働きながら実務経験を積む方法の2通りに分かれます。
学費を負担できるなら学校ルートが最短で、収入を得ながら進めたいなら実務経験ルートが現実的な選択肢になるでしょう。
2025年7月の改正で実務経験の必要年数が短縮されたため、働きながらの取得は以前よりも目指しやすくなりました。
未経験から資格取得を目指すなら、支援制度が整った職場を選ぶことが大切です。
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