施工管理はきつい・つらいと言われる10の理由 | 働き方改革の効果はでている?
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  • 2025/10/30

施工管理はきつい・つらいと言われる10の理由 | 働き方改革の効果はでている?

「施工管理は残業時間が長くてきつい」 「施工管理は人間関係が複雑でつらい」 施工管理を調べていると、上記の声を聞いた方も多いのではないでしょうか。 またすでに働いている方には、「施工管理がきついと思うのは自分だけ?」と心配な方もいるでしょう。 結論、「施工管理がきつい」と感じる人がいるのは事実です。 ただし2024年4月以降は働き方改革の影響で、施工管理は少しずつきついと感じる場面が減っています。 そこで本記事では、施工管理がきつい・つらいと言われる理由に加えて、働き方改革の影響や施工管理がきついと感じたときに乗り越える方法を紹介します。 最後には、施工管理の待遇面を中心に働く魅力やメリットも紹介しているので、ぜひご覧ください。 まずは施工管理がきつい・つらいと言われる理由を見ていきましょう。

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施工管理はきつい・つらいと言われる10の理由

以前から施工管理を含む建設業界は、3K(きつい・汚い・危険)というイメージが強いです。

とくに長時間労働や休日の少なさ、業務範囲の広さなどが3Kがイメージされる要因となっています。

関連記事:
なぜ施工管理はやめとけと言われるのか?

近年は、国土交通省が新3K(給与・休暇・希望)を実現するための取り組みを行ったり、働き方改革の一環で建設業界にも残業時間の上限規制を適用したりして、労働環境が改善されています。

とはいえ昔から3Kのイメージが強いため、簡単に施工管理がきついというイメージは変わりません。

ここでは施工管理がきついと言われる理由を見ていきましょう。

  • 建設業界の労働時間が産業全体より200時間以上長いから
  • 建設業界の出勤日数が産業全体より20日以上多いから
  • 現場の手伝いなど屋外で作業することがあるから
  • 工事に必要となる書類が多いから
  • 4大管理すべてを担当するなど業務の幅が広いから
  • 昇進には1級施工管理技士の資格取得が必要だから
  • 日本全国・海外にも出張や転勤の可能性もあるから
  • 天候不順や資材遅れなど予測できないトラブルが起こるから
  • 発注者(施工主)からのプレッシャーが大きいから
  • 発注者と職人の間での調整業務が多いから

1. 建設業界の労働時間が産業全体より200時間以上長いから

厚生労働省の毎月勤労統計調査によると、令和6年度、建設業界の年間労働時間は1,943時間でした。

これは日本の産業全体の年間労働時間である1,714時間と比べて、200時間以上長くなっています。

産業の分類

年間労働時間

建設業界

1,943時間

産業全体

1,714時間

出典:毎月勤労統計調査 | 厚生労働省

長時間労働が起こる原因は、建設業界の人手不足にあります。

近年、建設業界では労働者の高齢化が進み、労働従事者の約49%が50歳以上です。

一方で若手労働者は、建設業界に入ってこないため、29歳以下の割合はわずか13%程度です。

年齢

労働人口の割合(令和6年)

~19歳

0.5%

20歳~29歳

12.7%

30歳~39歳

20.0%

40歳~49歳

21.8%

50歳~59歳

24.9%

60歳~

24.1%

※労働人口の割合は、小数点第二位を四捨五入して計算

出典:労働力調査 | 総務省

若手人口が不足した結果、一人当たりの業務量が増えるので、労働時間が長くなっているのです。

また現場に若手人材が少ない影響もあり、IT化・DX化の取り組みが遅いのも原因の一つと言えます。

2. 建設業界の出勤日数が産業全体より20日以上多いから

施工管理は、出勤日数も産業全体と比べて多い傾向にあります。

産業の分類

年間出勤日数

建設業界

238日

産業全体

212日

出典:毎月勤労統計調査 | 厚生労働省

令和6年度では、建設業界の年間出勤日数は、産業全体と比べて26日多くなっています

つまり計算上は、他の産業と比べて、1ヶ月に2日以上多く出勤しているということです。

建設業界の年間出勤日数が多い理由には、業界として、完全週休2日制が一般的でないことがあります。

■完全週休2日とは

対象期間の全ての土日において、現場閉所を行ったと認められる状態をいう。なお、週の定義は月曜日から日曜日までとする。

引用:令和7年度 週休2日制適用工事の概要 | 国土交通省

他の業界では土日祝が休みなどの完全週休2日制が一般的ですが、建設業界の場合は、隔週の土曜出勤が当たり前の企業も少なくありません。地場の中小企業になると、休日が日曜日のみの企業もあります。

つまり建設業界は、いまでも一部企業で休日出勤が常態化しているのです。その結果、他の業界より出勤日数が多く、休日日数が少ない傾向にあるため、施工管理がきついと考えられているのです。

3. 現場の手伝いなど屋外で作業することがあるから

施工管理の現場によっては、屋外での肉体労働が必要になることもきついと言われる原因です。

施工管理は長時間の立ちっぱなしだったり、日常的に現場を見回ったりする必要があるため、猛暑の夏や極寒の冬は、肉体的に大きな負担があります。

また施工管理の仕事は工程や品質などを管理して、期限までに工事を完了させることですが、人手不足や工程遅れの影響で、自ら作業に加わる工事現場もあります。さらに工事現場によっては、日中に見回りや職人のサポートをして、作業終了後の18時以降に書類整理や本社への報告をしているケースもあります。

そのため日中の作業での疲れが取れないことも多く、他の職種にはない大変さがあります

だからこそオフィスワーク中心の仕事と比べて、施工管理はきついと言われることが多いのです。

4. 工事に必要となる書類が多いから

施工管理の仕事は、現場の獲得だけではなく、書類の整理や必要書類の提出も含まれます。

たとえば着工前には施工計画書や工程表の作成が必要ですし、工事期間中には施工日報や工程ごとの品質チェックリスト、安全対策のためのKY活動書類や作業員名簿の作成が必要です。

他には、役所や発注者(施工主)に提出する申請書類もありますし、現場の出来形を記録するための施工写真整理と報告、引渡しに必要な書類の準備など、書類整理だけでも多くの時間が必要です。

コンプライアンスや品質管理、法令遵守の重要性が高まっている状況で、書面による記録や保存は、年々厳しく求められるようになっています。一つの工事で数百ページの資料を作成するケースもあるのです。

つまり日中は現場作業に追われる一方、夕方以降には書類整理や報告書作成をする工事現場もあります。

その結果、長時間労働や休日出勤につながりやすいので、施工管理はきついと言われるのです。

5. 4大管理すべてを担当するなど業務の幅が広いから

施工管理の業務内容が幅広いことも、きついと言われる理由の一つです。

施工管理の業務内容は、主に以下の4つとなります。

  • 安全管理
  • 品質管理
  • 工程管理
  • 原価管理

大規模な工事になると、それぞれで担当者を分けることも多いです。

ただし中小規模の工事になると、一人の施工管理者がすべての管理業務を兼任するケースが多いです。

一人が担当する業務範囲の広さは、コミュニケーションや調整業務が必要な対象の多さに直結します。

たとえば朝礼では職人に対して安全指示を出し、日中は現場管理と並行しながら品質チェックや発注者との打ち合わせ、夕方は進捗確認と翌日の段取りや工程調整などを一人でこなすというイメージです。

施工管理は常に仕事に追われる状態で、気が緩められない現場もあるため、きついと言われるのです。

6. 昇進には1級施工管理技士の資格取得が必要だから

施工管理として昇進・昇格するためには、1級施工管理技士の取得がほぼ必須になります。

なぜなら建設業界の現場では、現場の責任者(主任技術者・監理技術者)になるために、国家資格である施工管理技士の資格が求められるからです。たとえば商業施設の建築現場では、1級建築施工管理技士の資格が必要ですし、ダムやトンネル系の土木関連の現場なら、1級土木施工管理技士が必要になります。

1級施工管理技士は難易度が高く、合格率は例年20%以下で、300時間以上の学習が必要と言われます。

資格の種類

合格率(令和6年度)※1

1級建設機械施工管理技士

13.5%

1級建築施工管理技士

14.8%

1級電気通信工事施工管理技士

16.6%

1級電気工事施工管理技士

18.2%

1級造園工事施工管理技士

18.2%

1級土木施工管理技士

18.3%

1級管工事施工管理技士

39.9%

※1. 試験実施団体の公表値(令和6年度)をもとにストレート合格率※2を算出
※2. ストレート合格率:第一次検定の合格率×第二次検定の合格率

現場次第では仕事がハードになるので、働きながらの試験対策は大変なことも多いでしょう。資格試験の直前には、休日を返上して資格の勉強に専念する人も珍しくありません。

1級施工管理技士資格がないと昇進や昇格のチャンスが限られるので、キャリアや年収を上げるために、資格取得が必須になります。資格の勉強に抵抗感がある人は、きついと感じる部分もあるでしょう。

とはいえ資格を取得することで、高卒や未経験からもキャリアアップ・年収アップを実現できる部分は、施工管理として働く大きなメリットです。学歴に自信のない方でも、年収アップのチャンスがあります。

7. 日本全国・海外にも出張や転勤の可能性もあるから

所属する会社によっては、日本全国だけではなく、海外にも転勤・出張があるのも施工管理の特徴です。

施工管理の仕事はプロジェクトごとに現場が変わるので、定期的に勤務先が変わります。

とくに大手企業では日本全国に現場があるため、数年おきに転勤・引越しする施工管理技士も多いです。

また所属する企業によっては、数年単位で海外プロジェクトのために現地派遣される可能性もあります。中には、家族と離れて単身赴任の人や、平日は社宅で寝泊まりして週末だけ自宅に帰る人もいます。

若手は地方の現場に配属されることもあり、プライベートの予定が立てづらい会社も少なくありません。

家族との時間を取りづらく、将来の生活設計が難しい点も施工管理がきついと言われる理由の一つです。

8. 天候不順や資材遅れなど予測できないトラブルが起こるから

大雨や台風で工事が止まったり、資材の搬入遅れで計画どおりに工事が進まなかったりと、工事現場では予期せぬトラブルがよく起こります

他にも職人が急に欠勤したり、下請業者の都合が悪くなったりするケースも珍しくありません。

このような突発的な問題が起こる度に、すぐに対応策を考えて、臨機応変に対応する必要があります。

近年ではゲリラ豪雨や台風による悪天候も多いですが、自然の天気に対して、抗うことはできません。

なお避けられない遅延や中断が起きても、工期どおりに完工できるように調整をする必要があります。

何が起こるかわからない中で、常に周りに目を光らせて、備えておくのはきついと感じる人も多いです。

9. 発注者(施工主)からのプレッシャーが大きいから

施工管理に対する、発注者(施工主)からの品質や納期のプレッシャーは大きいです。

施工管理技士は発注者に対し、工事の進捗状況や出来栄えを説明する責任があります。

とくに大規模な工事になると、発注者である施工主は数百億円以上の投資になることもあり、発注者側もかなり厳しいプレッシャーを感じています。

そのため発注者は契約どおりに、期限内・予算内で高品質なものを完成させることが何より重要であり、何か問題が起これば、一番はじめに施工管理技士に改善要求や叱責があるのです。

官公庁や大企業から依頼される大規模プロジェクトほど、発注者の要求水準も厳しく、細かなミスも許されない雰囲気があります。このようなプレッシャーを日々感じると、きついと感じる人も出るでしょう。

10. 発注者と職人の間での調整業務が多いから

施工管理は発注者からのプレッシャーを受けながら、現場の職人からも改善要求を突きつけられます

先ほど紹介したとおり、施工管理は発注者から品質と納期の希望を伝えられて、それを職人に伝えます。一方で職人からは、現場の改善要求や問題点を伝えられて、それを発注者に伝えなければなりません。

発注者からの要求には、途中での設計変更がありますし、職人からの要求は、納期を遅らせたり、予算を増額したりするものも少なくありません。どちらも相手の要求だけを飲むことは難しく、施工管理が間で板挟み状態となり、関係各所への調整に追われるケースも多いです。

とくに納期や予算に関する調整は厳しく、怒鳴られたり叱責されたりする可能性もあります。このように発注者と現場とのギャップを埋めるために奔走する必要があるのも、きついと言われる理由です。

ここまで施工管理がきつい・つらいと言われる10の理由を見てきました。

  • 建設業界の労働時間が産業全体より200時間以上長いから
  • 建設業界の出勤日数が産業全体より20日以上多いから
  • 現場の手伝いなど屋外で作業することがあるから
  • 工事に必要となる書類が多いから
  • 4大管理すべてを担当するなど業務の幅が広いから
  • 昇進には1級施工管理技士の資格取得が必要だから
  • 日本全国・海外にも出張や転勤の可能性もあるから
  • 天候不順や資材遅れなど予測できないトラブルが起こるから
  • 発注者(施工主)からのプレッシャーが大きいから
  • 発注者と職人の間での調整業務が多いから

ただし近年は、建設業界や施工管理でも働き方改革や労働環境改善の流れが強く、きついと言われている原因は徐々に改善傾向にあります。

関連記事:
施工管理は意外と楽?むしろ楽すぎ?働きやすい分野・現場の特徴

そこでつづいては、施工管理のきつさが改善されている部分について見ていきましょう。

施工管理がきついのは働き方改革の影響で改善されつつある

2024年4月に残業時間の上限規制が適用され、国土交通省を中心に働き方改革への取り組みをしており、建設業界・施工管理の労働環境は大きく改善されてきています

以前の建設業界では、長時間労働が常態化していました。

しかし最近では、大企業を中心に残業時間が削減されたり、完全週休2日制が導入されたりしています。

一方で働き方改革のしわ寄せを受けて、負担が増えて、労働時間が伸びている現場があるのも事実です。

つまり業界全体では改善の傾向があるものの、企業のよってデメリットを受けている現場もあるのです。

そこでつづいては、建設業界で働き方改革に積極的な企業と逆にしわ寄せを受けた企業を解説します。

建設業界の働き方改革に積極的な姿勢があるのは大手企業

働き方改革や労働環境の改善に積極的なのは、スーパーゼネコンなどの大手企業です。

若手人材の確保や法規制への対応のため、鹿島建設や大林組などの大手企業では働き方改革を推進して、残業時間を削減したり、完全週休2日制を導入したりしています。

会社名

休日制度

年間休日

鹿島建設

完全週休2日制

126日

大林組

完全週休2日制

125日

大成建設

完全週休2日制

125日

清水建設

完全週休2日制

129日

竹中工務店

完全週休2日制

131日

出典:各社における新卒採用ページの募集要項

スーパーゼネコン5社は完全週休2日制を採用しており、竹中工務店の年間休日は130日以上です。

また残業時間や労働日数を削減するため、クラウドを使った現場管理やドローンによる測量や建設機械の遠隔操作などのICT技術の導入にも積極的です。

たとえば清水建設では、2030年までに定型業務の50%以上を自動化することを目標としています。

目指すDXから実現されるシミズの将来像〈2030〉

業務プロセス改革とデータ活用により、建設現場・サポート部署・管理部署などの定型業務を50%以上自動化し、時間や場所にとらわれない柔軟な働き方ができる労働環境を実現する。

引用:中期DX戦略 〈2024-2026〉 | 清水建設

他にも竹中工務店では建設現場をIot化するためのプラットフォームを作成していますし、鹿島建設では『クワッドアクセル』という建設機械の自動運転を核とした自動化システムを推進しています。

電力線を使って通信を行うことができるPLC(Power Line Communication:電力線通信)技術を活用し、建設工事で使用する「仮設電気配線」を使って通信網を構築できるIoTプラットフォーム「TSUNAGATE」を開発しました。PLC機能を搭載した仮設分電盤「TSUNAGATE BOX」を建設現場に設置することで、建設現場内にIoT環境が構築されます。各「TSUNAGATE BOXが」自動的に「TSUNAGATE CLOUD」につながり、さまざまなICTツールをクラウド上で一括管理することができるようになります。

引用:建設現場をIoT化するプラットフォーム | 竹中工務店

生産性と安全性を飛躍的に向上させる施工システムが必要と考え、鹿島は、作業指示を送ることで、自動化された建設機械が自律・自動運転を行い、必要最小限の人員で多数の機械を同時に稼働させることをコンセプトとした、次世代の建設生産システムを実現しました。A4CSEL(Automated / Autonomous / Advanced / Accelerated Construction system for Safety , Efficiency , and Liability)は、従来のリモコン等による建設機械の遠隔操作とは異なり、人間が複数の自動化建設機械に作業計画を送信することにより、無人で自動運転を行うものです。

引用:建設機械の自動運転を核とした自動化施工システム | 鹿島建設

大企業は作業効率を高めるため、IT化・DX化に莫大な金額を投資しています。

その結果、大手ゼネコンの鹿島建設では、過去5年で年間の労働時間が100時間以上減少しています。

年度

年間総労働時間

2020年

2284.0時間

2024年

2162.6時間

出典:人事データ | 鹿島建設

働き方改革のしわ寄せで労働時間が増加する企業もある

大企業で働き方改革が推進される一方で、一部の下請け企業では労働時間が増加する場合もあります

なぜなら元請け企業の大手ゼネコンとは異なり、下請け企業は設備投資に使える資金がないため、IT化やDX化が遅れて、現場対応が追いつかなくなるケースがあるからです。

また元請け企業が残業制限や定時退社を徹底する一方で、施工の納期が変わらないことも多いです。その結果、下請け企業に負担のしわ寄せがいき、穴を埋めるために、長時間労働につながることもあります。

なお大阪万博では建設が間に合わず、一時的に残業時間を撤廃できないかという案も出ていました。

参照:大阪万博二〇二五の建設にかかる時間外労働に関する質問主意書 | 衆議院

このように建設業界では、工期に間に合わない可能性があると、残業する時間を伸ばしたり、休日出勤をしたりと長時間労働を推奨する声も少なくありません

ただし元請け企業は上場している関係上、法規制に厳しく縛られます。

その分、下請け企業はしわ寄せにきて、労働時間が長くなるケースがあるのです。

施工管理がきつい・つらいと感じる人の特徴3選

施工管理を含めてすべての仕事には、向き不向きがあるので、どうしてもきついと感じる人もいます。

ここでは、施工管理の仕事がきつい・つらいと感じやすい人の特徴を紹介します。

以下の3つすべてに当てはまる方は、施工管理がきついと感じやすいでしょう。

  • 体力が少ない人(とくに女性)は施工管理がきつい
  • コミュニケーションが苦手な人は施工管理がきつい
  • プライベートを充実させたい人は施工管理がきつい

※上記1つでも当てはまると、施工管理ができないわけではありません

1. 体力が少ない人(とくに女性)は施工管理がきつい

近年、建設業界では分業化が進んでおり、施工管理が現場仕事をするケースは少なくなっています。

しかし一部の現場(とくに中小規模)では、施工管理でも現場作業をすることがあります。具体的には、資材運搬や測量の手伝いなど、屋外作業や肉体労働が増えるのです。

そのため体力が少ない方はきついと感じることも多いでしょう。

とくに女性は男性と比べると平均的な筋力に差がありますし、現場自体が男性の多い環境でもあるので、気疲れする人も多いでしょう。実際に国土交通省の調査(令和6年度)によると、建設業界の女性比率は約10%ですし、技能者に限定すると、わずか2%しかいない状態です。

職種

女性の割合

技術者(設計者含む)

10%

技能者

2%

※技術者:建設工事の施工管理に従事する者(設計職を含む)、測量・地質調査・調査設計に従事する者
※技能者:建設工事の施工に直接従事する者

出典:令和6年度 建設産業における女性定着促進に関する実態等調査結果 | 国土交通省

国土交通省全国中小建設業協会が、建設業界で女性が働きやすくなるように取り組みを進めています。その結果、女性用トイレや更衣室の整備やリモートワークの取り組みも進んでいます。

とはいえ一日中、立ちっぱなしの現場も多いですし、工事は35度を超える真夏も、氷点下になる真冬も行われるのです。そのため体力が少ない方には、体力的な負担が大きくなるでしょう。

2. コミュニケーションが苦手な人は施工管理がきつい

人とのコミュニケーションや調整ごとが苦手な人は、施工管理がきついと感じる可能性が高いです。

なぜなら施工管理は、社内では上司や他部署と連絡を取りつつ、社外に対しては職人に指示を出したり、発注者に報告・交渉したり、近隣住民に説明したりと、コミュニケーションを取る業務が多いからです。

また工事の進捗が遅れているときは、下請け企業や職人に追加業務を依頼しつつ、発注者には工程遅れの説明をしたり、予算追加の了承を得たりしなければなりません。

施工管理は、発注者と現場の職人の間で板挟みになることが多く、コミュニケーションに自信がないと、叱責すべき場面でも注意できなかったり、職人との世代差や文化の差で戸惑うことになります。

その結果、現場での信頼関係を築けずに、施工管理の仕事自体がきついと感じることが増えるでしょう。

一方でコミュニケーションをうまく取れる方であれば、施工管理が意外と楽に感じるケースもあります。自分のタイプを考えて、施工管理の仕事が向いているかを考えてみてください。

関連記事:
施工管理に向いている人の特徴7選

3. プライベートを充実させたい人は施工管理がきつい

プライベートを何より大切したい方には、施工管理がきついと感じるかもしれません。

というのも施工管理は、他の職種と比べて、私生活が犠牲になりやすい仕事だからです。所属する企業や配属先の現場によりますが、施工管理は長時間労働や休日出勤、出張・転勤が少なくありません

大型プロジェクトを担当すると、数年間は地方に赴任するケースもありますし、大企業で働いていると、家族と離れて単身赴任している方も少なくありません。

施工管理の労働環境は徐々に改善されていますが、一部の企業で、未だにブラックな労働環境があるのも事実です。そのためプライベートを何より充実させたい方は、施工管理がきついと感じるでしょう。

ここまで施工管理がきつい・つらいと感じやすい人の特徴を紹介しました。

  • 体力が少ない人(とくに女性)は施工管理がきつい
  • コミュニケーションが苦手な人は施工管理がきつい
  • プライベートを充実させたい人は施工管理がきつい

上記の3つ全てに当てはまっている方は、施工管理をきつく感じる可能性が高いでしょう。

ただし「施工管理の仕事がきつい」と感じたときには、乗り越える方法もあります。

そこでつづいては、施工管理がきついと感じたときの対処法を見ていきましょう。

施工管理がきついと感じたときに乗り越える対処法5選

施工管理がきついと感じたときに乗り越える対処法は、以下の5つです。

  • 仕事の進め方や労働環境の改善を試してみる
  • 休みの日に仕事のことを考えないようにする
  • 施工管理で労働環境の良い会社に転職する
  • 経験を活かして別の業種に転職する
  • 派遣の施工管理として働く

1. 仕事の進め方や労働環境の改善を試してみる

まずは現在の現場で、仕事の進め方や労働環境を改善できないか試してみましょう。

施工管理は毎日が忙しく、労働環境を改善する方法を考えるのは難しいです。そのため一度、信頼できる上司や先輩に相談してください。

なぜなら上司や先輩が、あなたの困りごとに対する、解決策を持っている可能性があるからです。

たとえばあなたが手作業でする仕事を、先輩はExcelやAIを使って効率化している可能性もありますし、書類作成をテンプレ化して、短期間で仕上げている可能性もあります。また業務が多すぎる場合は、上司を経由して、増員を依頼することもできますし、大手企業なら人事部に連絡を入れる方法もあります。

このように現職のままでも、仕事の進め方や労働環境の改善を試すことで、負担を軽減できるでしょう。

また現職を辞めて転職する際にも、自分の労働環境に対して、どのように改善できるかを試した経験は、面接時のエピソードとして使えます

そのため現在の現場で、仕事の進め方や労働環境を改善できるかを考えてみてください。

2. 休みの日に仕事のことを考えないようにする

施工管理技士は常に仕事を考える人もいますが、休みの日も進捗やトラブルを心配していると、しっかり休めません。このような方は、オンとオフの切り替えを意識するだけでも、精神的な負担を減らせます

週末や休暇日は思い切って仕事から離れて、趣味の時間や家族との時間に没頭しましょう。

休暇中は電話やチャットの通知をオフにして、自分の時間を優先するのがおすすめです。

長期的に働くためにも、休みの日は仕事のことを考えないようにしてください

3. 施工管理で労働環境の良い会社に転職する

施工管理は激務な現場もありますが、すべてがブラックなわけではありません。

働き方や労働環境の改善に積極的な企業も多いので、自分が働きやすい職場を見つけることが大切です。

たとえば人手不足にも関わらず、案件の多い職場は、どうしても労働環境が悪化しやすいです。一方でチームが構築されており、IT化が進んでいる現場は、働きやすくなるでしょう。

近年は大手ゼネコンや優良な中堅建設会社を中心に働き方改革が進んでいますし、完全週休2日制導入や残業時間を月20時間以下にする取り組みも進めている企業も多いです。現場の責任者である施工管理技士は貴重な人材なので、会社側もやめないように負担を少なくする対策を取っています。

現職の労働環境に不満のある方でも、施工管理技士を取得し、実務経験を積んでいれば、転職することで年収を維持・向上させた状態で、労働環境を改善することもできるでしょう。

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4. 経験を活かして別の業種に転職する

施工管理で働いた経験を活かして、他業種や多職種で転職する方法もあります。

施工管理の仕事は、周囲との調整が必要なので、一定期間の実務経験を積んでいれば、計画力や調整力が身についているでしょう。そして計画力や調整力は、他の業種や職種でも評価されます。施工管理の経験をもとにデベロッパーに転職する人もいますし、設備管理など専門性の高い職種に転職する人もいます。

他の業種や職種への転職で、残業時間が減少したり、休日出勤が減ったりして、ワークライフバランスが整っている人も多いです。ただし実務経験や取得した資格を、直接的に仕事には活かせません。

そのため別の業種への転職は、年収が下がる可能性が高い点に注意が必要です。年収アップしたい方や、最低でも現状維持したい方は、施工管理の中で労働環境のよい会社を探したほうがよいでしょう。

5. 派遣の施工管理として働く

施工管理のスキルを活かしつつ、自分で働き方を選択したい方は、派遣社員として働く方法もあります。

派遣社員として働くメリットは、自分の希望条件にあった現場や勤務先を選びやすいことです。たとえば絶対に自宅からの通勤圏内で働きたい人でも、派遣社員ならその選択肢が現実的になります。

また派遣会社は複数のプロジェクトがあるので、残業の少ない案件や短期プロジェクトなど、自分が経験したい案件を中心に受けることも可能です。さらに派遣会社が入るので、必ず残業代は支給されますし、休日取得などの労務管理も徹底されやすい傾向にあります。

派遣社員は、現場の責任者(監理技術者・主任技術者)を担当しないため、精神的な負担も少ないです。

一方で派遣社員はアシスタント的な業務が中心になることも多く、キャリアの限界も近いですし、年収が800万円以上になる人も少ないです。施工管理は、正社員としてキャリアを歩めば、年収800万円以上も十分可能な仕事です。そのため収入の面では、派遣として働くことにデメリットもあります。

ここまで「施工管理がきつい・つらい」と言われる理由や2024年以降労働環境が改善されていること、きついと感じたときの対処法を紹介してきました。

他の仕事でも同じですが、施工管理の仕事は決して楽ではありません。一方、他の仕事にはないやりがいやリターンがあるのも事実です。そこでつづいては、施工管理として働く魅力やメリットを紹介します。

きついけど高年収?施工管理で働く魅力・メリット

施工管理として働く魅力やメリットは、以下のとおりです。

  • 担当工事が終わったの達成感が大きい
  • 平均年収が全国平均より100万円以上高い
  • 工事の需要が安定していて将来性が高い

1. 担当工事が終わったの達成感が大きい

施工管理として働く最大の魅力は、プロジェクトが完了したときの達成感です。

工事中はトラブル対応や調整業務に追われる毎日ですが、自分が担当した施設やインフラ設備が完成し、形になったときの達成感は、他の仕事では味わえません。

大企業は、地域のランドマークやダムや高速道路など多くの人が使う設備を担当しますし、中小企業は、一軒家の工事や中小企業の工場設備を担当することが多くなります。担当する現場によって、やりがいはそれぞれですが、完工時の達成感を感じるために施工管理を続けている人も少なくありません

苦労が多い仕事だからこその達成感も、施工管理として働く魅力と言えるでしょう。

2. 平均年収が全国平均より100万円以上高い

施工管理の平均年収は、日本全体の平均より100万円以上高いです。

職種の分類

平均年収

建築施工管理技術者

641.6万円

土木施工管理技術者

596.5万円

全体平均

478.0万円

参照:
建築施工管理技術者 | 厚生労働省
土木施工管理技術者 | 厚生労働省
令和6年分 民間給与実態統計調査 -調査結果報告- | 国税庁長官官房企画課

学歴関係なく、実力次第では30代で年収700万円。40代で年収1,000万円に到達するケースもあります。労働時間は比較的長い傾向にありますが、その分、若いうちから高い収入が期待できるのです。

また1級施工管理技士の資格を取ったり、実務経験を積んだりすれば、年収アップに直結します。

自分の経験や専門性の高さが、明確に年収アップに反映されるのも、施工管理の大きな魅力です。

3. 工事の需要が安定していて将来性が高い

施工管理は、民間・公共ともに、安定した需要があります。

たとえば民間事業者からはオフィスビルや商業施設、マンション、戸建て住宅の建設需要がありますし、公共からはダムやトンネルなどのインフラ設備の建築・メンテナンスの需要が大きいです。

高度経済成長期に建設したインフラ設備は50年以上の年月が経っており、設備の老朽化が進んでいます。国土交通省は2026年度予算概要で、インフラ設備の維持管理目的で1兆783億円の予算を求めています。

すべての予算が認められるわけではありませんが、公共からの需要が強いことがわかるでしょう。

民間からは、IR施設などの観光目的の建造物や都市の再開発に関する需要が大きいです。

さらに建設業界では、技術者の高齢化と若手の人材不足が深刻なので、スーパーゼネコンなどの大手建設会社を中心に施工管理技士の確保に積極的になっています。とくに1級施工管理技士の資格を持っている即戦力人材なら、転職市場でも引く手あまたの状態です。

また建造物が存在する限り、必ず必要とされる仕事なので、将来性は明るいと言えるでしょう。手に職をつけたい人や、スケールの大きな仕事を扱いたい人には、施工管理は魅力的な選択肢の一つと言えます。

まとめ

本記事で紹介したとおり、施工管理の仕事がきついと感じる人がいるのは事実です。

あらためて施工管理の仕事がきつい・つらいと言われる理由は、以下のとおりです。

  • 建設業界の労働時間が産業全体より200時間以上長いから
  • 建設業界の出勤日数が産業全体より20日以上多いから
  • 現場の手伝いなど屋外で作業することがあるから
  • 工事に必要となる書類が多いから
  • 4大管理すべてを担当するなど業務の幅が広いから
  • 昇進には1級施工管理技士の資格取得が必要だから
  • 日本全国・海外にも出張や転勤の可能性もあるから
  • 天候不順や資材遅れなど予測できないトラブルが起こるから
  • 発注者(施工主)からのプレッシャーが大きいから
  • 発注者と職人の間での調整業務が多いから

ただし働き方改革の影響で2024年4月には残業時間の上限規制が適用されましたし、国土交通省を中心に建設業界の労働環境の改善も推進しています。その結果、大手企業を中心にして、完全週休2日制の導入や残業時間の削減など、労働環境の改善が進んでいます

さらに完工時の達成感や年収の高さなど、他の職種では得られないメリットもあります。とくに施工管理は学歴や職歴に関係なく、誰でも高年収が目指せるのが特徴で、実力次第で年収1,000万円も可能です。

会社や現場によっては、完全分業制で作業現場での肉体労働がなくなっていたり、リモートワーク対応でオフィス内での労働も可能になりつつあります。

決して楽な仕事ではありませんが、手に職がつくので将来性も高く、安定して高い年収を期待できます。

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施工管理はきつい・つらいに関するよくある質問

最後に施工管理はきつい・つらいに関するよくある質問に回答します。

施工管理がきついのはなぜ?

施工管理がきついと言われる理由は、他の職種よりも労働時間が長くて、肉体労働も多いからです。

業務負担や責任も重く、肉体的にも精神的にも負荷が大きくなります。早朝には現場の準備や安全点検、日中は現場対応と打ち合わせ、作業終業後は書類整理や翌日の準備などをするイメージです。

とくに以前は、3K(きつい・汚い・危険)の仕事と言われており、きついというイメージが強いです。

ただし2024年4月以降、働き方改革や企業の労働環境の改善の流れがあり、法規制への意識が高い大企業を中心に、建設業界の労働環境は大幅に改善されています。

たとえば大手ゼネコンの鹿島建設では、過去5年間で年間の労働時間が100時間以上減少していますし、竹中工務店は年間休日が130日を超えています。

このように働きやすい環境が整いつつあるので、近年の施工管理は少しずつきつさが減っているのです。

施工管理は女性にはきつい?

施工管理がきついと感じる女性はいます

なぜなら一部の現場では、未だに現場のサポートのために資材の運搬などの作業をすることがあり、体力の少ない方の場合、きついと感じることがあるからです。

男性中心の現場が多く、男性と比べてトイレが少なかったり、更衣室が狭かったりすることもあります。小規模現場では、仮設トイレが男女共用で汚れていることもあり、きついと感じる女性もいるでしょう。

ただし国土交通省全国中小建設業協会が、建設業界で女性が働きやすい環境を整えるための取り組みを進めており、建設業界でも女性を採用する割合は少しずつ増えています。

また施工管理は細かな気配りやコミュニケーションが必要で、女性の力が活かしやすい部分もあります。

そのため施工管理が女性にとってきつい部分があるのも事実ですが、企業選びさえ間違えなければ、女性でも施工管理として活躍できるチャンスは十分あるのです。

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関連記事:
女性が施工管理で働く7つのメリット

未経験で施工管理はきつい?

未経験で施工管理に転職する場合、最初は非常にきついと感じる可能性があります。

なぜなら専門知識や経験ゼロの状態で現場に配属されるので、覚えることが多かったり、現場の雰囲気に慣れるために時間がかかったりするからです。また施工管理は一年目でも関係なく、ベテランの職人に指示を出したり、発注者との調整や折衝が必要でコミュニケーションが難しい部分もあります。

とくに教育体制が整っていない会社に入社すれば、きついと感じることが多いでしょう。

一方で未経験でも適切な研修や先輩のフォローがあれば、最初の期間を乗り越えられる方が多いです。

また会社によっては、資格取得奨励制度がある会社もあり、自分の実力を高めやすい環境もあります。

未経験から施工管理にチャレンジする場合は、会社選びが最重要になるので、慎重に選んでください。

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