1級自動車整備士の平均年収

1級自動車整備士の年収は、420万〜550万円がボリュームゾーンです。
日本自動車整備振興会連合会が行った最新の調査(※)によると、整備士全体の平均年収は約442万円で、1級保持者はこれよりも高い水準で推移しています。
ただし、企業によっては2級整備士と初任給や基本給で大きな差を設けていないケースも少なくありません。1級資格の優位性が明確に現れるのは、実務経験を積んだ後です。
1級保持者は早い段階で管理職候補として扱われることが多く、30代以降の昇給カーブが2級保持者よりも急激に上昇する傾向にあります。
※参照:令和7年度 自動車特定整備業実態調査結果の概要について
1級自動車整備士と2級自動車整備士の給料の差
1級自動車整備士と2級保持者の年収差は、数千円から50万円程度です。この差を生む主な要因は「資格手当の金額設定」と「担う役割の違い」です。
給料の差が出る要因①資格手当
多くの企業では、保有資格の等級に応じて月額の資格手当を支給しています。下表は手当額の一例で、難易度が上級資格になるほど手当額が上がります。
資格等級 | 月額手当の目安 |
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3級整備士 | 5,000円前後 |
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2級整備士 | 10,000円前後 |
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1級整備士 | 15,000円前後 |
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プレックスジョブが取り扱っている整備士求人(6,689件)によると、資格手当の支給額は2,000円〜15万円と企業によって大きな開きがあります。
高度な故障診断や電気自動車(EV)対応が求められる環境ほど、1級保持者への手当を厚く設定する傾向があります。
給料の差がでる要因②担う役割
1級資格の保有は、高度な整備技術に加え、工場の運営や顧客対応までをトータルにマネジメントできる能力の証明となります。
2級保持者が「車両の整備完遂」を主な職務とするのに対し、1級保持者は以下の業務を担うことが期待されます。
- 高難度案件のトラブルシューティング: 他の整備士では解決が難しい複雑な故障への対応
- 組織の技術ボトムアップ: 工場全体の技術水準の管理や、後進の育成・指導
現場実務に留まらず、工場の収益性や品質に直結する「責任ある立場」を任されるため、2級保持者よりも高い給与設定となるケースが多いです。
また、こうした経験を積むことで役職者への道が開かれやすい傾向があります。1級自動車整備士資格は、長期的にみて高収入を目指せる資格といえます。
1級自動車整備士の仕事内容

1級自動車整備士は、単なる整備の上級者ではなく、最新車両の「電子制御スペシャリスト」兼「現場のコンサルタント」としての役割を担います。
2級整備士が一般的な分解整備や車検実務を中心とするのに対し、1級保持者はより高度な診断技術と組織運営の知見が求められます。
具体的な業務例は以下の通りです。
業務内容 | 概要 |
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高度診断(テスター診断と波形分析) | 原因不明の不具合に対し、スキャンツール(外部故障診断機)を駆使して診断を行う。 目視では判別できない電子回路の異常を、データや波形から論理的に特定する。 |
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特定整備とエーミング作業の責任者 | 自動ブレーキやレーンキープアシストなどの先進安全装置の調整(エーミング)において、法的な要件を満たす責任者として作業を監督・遂行する。 |
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次世代自動車(EV・FCV)の整備全般 | 電気自動車や燃料電池車など、高電圧回路や特殊な構造を持つ車両の整備を行う。 これら次世代車両の普及に伴い、1級保持者の専門知識は不可欠となっている。 |
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顧客へのテクニカルアドバイスとコンサルティング | 技術的なバックグラウンドをもとに、故障原因や今後のメンテナンス計画を顧客へ分かりやすく解説する。 整備のプロとして信頼を得るための重要な役割。 |
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現場マネジメントと若手育成 | 工場全体の作業効率を向上させるための工程管理や、2級・3級整備士への技術指導を行う。 現場のリーダーとして組織の技術レベルを底上げする役割も担う。 |
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1級自動車整備士と2級自動車整備士の仕事内容の違い
2級自動車整備士が「点検・修理といった実務の完遂」を主軸としているのに対し、1級整備士は「高度な故障診断能力」や「アドバイザー・コンサルタント能力」が求められます。
両者の役割の違いを整理すると以下の通りです。
比較項目 | 1級自動車整備士 | 2級自動車整備士 |
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目指す姿 | 顧客本位のサービスと収益性の向上 | 確実な整備作業の遂行 |
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主な仕事内容 | 高度な技術を用いた診断・アドバイス | 一般的な点検・修理実務 |
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責任の範囲 | 工場全体の技術指導・コンプライアンス管理 | 担当した車両の整備品質の確保 |
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2級保持者の評価は、こなした作業量が給与に直結しやすい傾向にあります。
一方で1級保持者は、難解な不具合を解決する診断能力や、後進の教育・現場管理といった「組織への貢献度」が評価対象となります。
1級資格を保有していれば、将来的に体力が衰えた際も、フロント業務や管理職として価値を発揮し続けることが可能です。
長期的な視点で市場価値を維持し、安定した収入アップを見込めるのが1級の強みといえます。
1級自動車整備士の就職先
希少性の高い1級保持者は、最新技術への対応力や指導力が正当に評価される職場で、即戦力の管理職候補として迎えられます。
主な就職先とそれぞれの特徴は以下の通りです。
就職先 | 特徴 |
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大手自動車ディーラー | 一般的な整備工場よりも、1級整備士が持つ高度な故障診断スキルが重宝される。 特に輸入車ディーラーは、高度な専用テスターを扱う専門性から資格手当が高額な傾向にあり、年収550万〜700万円超を目指すことも可能。 |
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自動車メーカーのテクニカルセンター | 新型車のトラブル対応マニュアルの作成や、全国のディーラー拠点に勤務する整備士を育成する「講師職」としての道がある。 現場の知見を活かしつつ、より上流工程の技術職としてキャリアを築ける。 |
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損害保険会社(アジャスター) | 事故車両の損害額を正確に査定する専門職。 車両の構造や電子制御に精通した1級保持者は、複雑な事故原因の究明や修理費用の妥当性を判断する上で非常に重宝される。 |
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1級自動車整備士資格があれば、2級以下では応募条件を満たせないような、就職難易度の高い大手企業や専門職への挑戦が可能です。
資格を最大限に活かして高収入を目指すなら、こうした専門性を高く評価する会社選びが重要になります。
1級自動車整備士資格を取るメリット・デメリット
1級自動車整備士資格の取得には、キャリア形成における明確な機能的利点がある一方で、相応のリソース投入が必要という側面もあります。
主なメリット・デメリットは下表の通りです。
メリット | デメリット |
・給与水準が上がる ・転職市場で有利にはたらく ・将来性がある | ・取得に時間と費用がかかる ・会社によっては待遇が変わらない |
ここからは、それぞれの内容について、くわしく解説します。
1級自動車整備士資格を取るメリット

1級資格を取得することで得られる最大のメリットは、個人の「市場価値の向上」です。具体的には以下の3点が挙げられます。
給与水準が上がる
1級保持者は整備士全体の3.9%と希少性が高く、多くの企業で2級よりも高い資格手当が設定されています。
ベースとなる月給が増えることで、基本給に連動する賞与(ボーナス)の受給額も底上げされ、生涯年収に大きな差が生まれます。
転職市場で有利にはたらく
1級整備士は対応可能な業務範囲が広く、高度な診断技術を要する現場で不可欠な存在です。
大手ディーラーや輸入車拠点、メーカーの技術部門など、高待遇を提示する企業ほど1級保持者を優先的に採用する傾向にあります。
将来性がある
自動運転や電気自動車(EV)といった次世代技術への対応力が証明されるため、技術革新が進むなかでも長期的な活躍が可能です。
また、現場での実作業だけでなく、フロント業務や技術指導といった管理的な役割への道も拓けるため、年齢を重ねて体力が衰えた際も高単価なポジションを維持しやすくなります。
1級自動車整備士資格を取るデメリット

1級資格の取得には、キャリア上の利点がある一方で、相応のリソース投入が必要という側面もあります。
取得に時間と費用がかかる
専門学校で資格を目指す場合、一般的に4年間の修業期間と平均500万円以上の学費を要します。
また、働きながら取得を目指す場合でも、講習費用として10万〜20万円程度の自己負担が発生するほか、合格率20〜30%といわれる難関試験に向けた膨大な学習時間の確保が不可欠です。
会社によっては待遇が変わらない
一般的な乗用車の車検や消耗品交換を主軸とする整備工場では、1級保持者であっても2級と同等の扱いを受けるケースがあります。
実務レベルでは2級資格で一通りの整備に対応できるため、高度な診断を必要としない環境下では、資格手当などの機能的なメリットを享受しにくいのが現実です。
1級自動車整備士になるには
1級自動車整備士資格を取得するには、主に以下の2つのルートがあります。
養成施設(整備専門学校・短大)を経由する
4年制の高度専門士課程、あるいは2年制の課程を経て進学し、必要なカリキュラムを修了して国家試験を受験します。このルートでは、実技試験が免除されるメリットがあります。
実務経験を積んで受験する
2級自動車整備士資格の合格後、3年以上の実務経験を積むことで受験資格が得られます。働きながら資格取得を目指す現役整備士に一般的なルートです。
1級自動車整備士の試験体系は、2級以下の筆記・実技のみとは異なり、以下の3段階で構成されています。
試験の種類 | 概要 |
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筆記試験 | 構造、機能、故障診断、関係法令など広範な知識が問われる |
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口述試験(面接形式) | 筆記試験合格者を対象に、顧客への説明能力や技術的な判断力が問われる |
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実技試験 | 実際の車両を用いた故障探究や測定作業を行う(養成施設修了者は免除) |
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これらすべての試験をクリアして、初めて1級自動車整備士として登録されます。
1級自動車整備士資格の取得難易度
1級自動車整備士は、整備士資格のなかで最も難易度が高い国家資格です。
一般社団法人日本自動車整備振興会連合会が発表した、令和7年(2025年)3月〜8月実施分の試験データは以下の通りです。
試験種別 | 合格率 |
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筆記試験 | 65.7% |
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口述試験 | 98.6% |
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実技試験 | 98.7% |
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参照:令和6年度第2回 | 一般社団法人 日本自動車整備振興会連合会(JASPA)
上記の回は比較的高い合格率となりましたが、1級試験の難易度は年によって大きく変動するのが特徴です。
過去には筆記試験の合格率が53%(令和4年度)まで落ち込んだり、実技試験が31.9%(令和5年度)という非常に厳しい結果になった例もあります。
筆記・口述・実技の3つの試験すべてをストレートで突破し、最終的な合格認定を受ける割合はおおよそ20〜30%程度と予測されています。
2級整備士の合格率が例年80%前後で推移していることと比較しても、非常に狭き門といえるでしょう。
自動車整備士として収入アップを目指す方法

1級自動車整備士資格の取得は強力な武器になりますが、それ以外にも現実的に年収を底上げする手段は複数存在します。
現在のスキルや志向に合わせて、以下の5つのルートを検討してみてください。
自動車検査員の資格を取得する
自動車検査員の資格を取得すると、1級整備士を目指すよりもすぐに給料を上げられます。
車検の最終判定を行うこの資格は、指定工場(民間車検場)の運営に不可欠なため、取得と同時に確実な待遇改善が見込めます。
多くの企業で責任の重さを評価し、月額2万〜10万円程度の「検査員手当」を支給。これにより年収が数十万〜100万円単位で増額するケースも珍しくありません。
法令遵守を担う重要な立場として社内地位が安定するだけでなく、工場長などの管理職へ進む必須ステップでもあります。
着実に年収を底上げしたい方には、非常に効率の良い資格といえるでしょう。
サービスフロントにキャリアチェンジする
整備士として培った深い専門知識を武器に、顧客対応の窓口である「サービスフロント」へ転身することも有力な選択肢です。
多くの企業で、追加整備の提案や部品・車両販売の実績に応じたインセンティブ制度を導入しています。
現場での作業効率だけでなく、自身の提案力が直接収入に反映されるのです。
「技術がわかるアドバイザー」は顧客からの信頼を得やすく、説得力のある説明ができるため、結果として作業員時代の年収を上回るケースが珍しくありません。
接客業務に抵抗がなく、自身の知識を対人コミュニケーションに活かして高年収を狙いたい方には、非常に収益性の高いキャリアパスといえます。
工場長などにキャリアアップする
現場の実務から離れ、マネジメントを担う「工場長」や「サービスマネージャー」を目指すルートです。
1級整備士資格があれば、その卓越した技術力と指導力を根拠に、このキャリアパスへ早期に乗れる可能性が高まります。
管理職への昇進で数万〜十数万円の役職手当が加算されるため、年収600万〜800万円以上への到達も現実的です。
大手ディーラーの基幹店舗などでは、さらなる高水準の報酬が用意されるケースも少なくありません。
体力的な負担を抑えつつ、培った知見を組織運営に活かして長期的に稼ぎ続けたい方には、最適な到達点といえるでしょう。
最新技術の知識を習得する
自動車業界が「100年に一度の変革期」を迎えるなか、最新技術に精通した人材は現場で代えのきかない存在となります。
特に自動ブレーキ等の先進安全装置を調整する「エーミング」や「特定整備」の知見は、現在の整備現場において極めて高い市場価値を誇ります。
こうした高度な診断スキルを持つ整備士は、高単価な修理を完遂できるため、給与交渉や好待遇な求人への挑戦で非常に有利です。
EV(電気自動車)やハイブリッド車といった次世代車両の知識をいち早く取り入れることで、技術革新が進むなかでも着実な年収アップが見込めるでしょう。
待遇が良い会社に転職する
会社によって給与体系は大きく異なるため、現在の職場で昇給が見込めないなら、保有資格を正当に評価する環境への転職が最も効率的です。
一般的に資本力の大きい大手ディーラーや輸入車拠点は、資格手当や賞与の設定が高く、年収100万円以上の改善が見込めるケースも珍しくありません。
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自分のスキルが市場でいくらになるのかを知るためにも、まずは一度相談してみてはいかがでしょうか。
1級自動車整備士の年収に関するよくある質問
ここでは、自動車整備士についてよくある質問をまとめました。
ひとつずつ回答していきます。
1級自動車整備士は何人いますか?
A. 国土交通省が公開している最新の情報(※)によると、令和6年6月末時点で1級自動車整備士の数は15,567人です。
整備要員総数402,025人のうち、1級保持者が占める割合は約3.9%と極めて少数です。
この圧倒的な少なさが、高度な知識と技術を持つ専門人材として、市場で高く評価される最大の理由となっています。
※参照:自動車整備事業場に従事する整備要員数と自動車整備士数
1級自動車整備士になるのは難しいですか?
A. 整備士資格のなかで最難関であり、非常に難しいといえます。
最終的な合格認定を受ける割合は30%程度といわれており、合格率が例年80%を超えることもある2級と比較すると、そのハードルの高さが際立ちます。
難易度を押し上げている主な理由は、単純な暗記が通用しない「診断」能力が問われることや、広範かつ最新の知識が求められることなどです。
4年制の専門学校で大学卒業と同等の期間をかけて学ぶことからも、一筋縄ではいかない最高峰の資格であるとわかります。
1級自動車整備士とトラック整備士では、どちらが年収が高いですか?
A. 1級資格を最大限に活かした整備士と、2級資格を持つトラック整備士を比較すると、1級自動車整備士の方が年収が高い傾向にあります。
一般的に、トラック(大型車)整備は作業の負荷が大きく、特殊な技術を要するため、乗用車の2級整備士よりも給与水準は高めです。
しかし、1級資格を保有し、高度な診断業務やマネジメント業務を担う乗用車整備士は、それをさらに上回る待遇を得られるケースが多く見られます。
年収の序列イメージは以下の通りです。
- 1級保持者(高度診断・役職者):高価格帯ディーラーや管理職
- 2級保持者(トラック整備士):大型車手当などが加算
- 1級保持者(乗用車整備士):一般的なディーラー勤務
- 2級保持者(乗用車整備士):一般的な整備業務
ただし、これはあくまで目安であり、「どの会社で、どのような役割を担うか」によって大きく変動します。
1級資格を持ちながらトラック整備の現場で活躍するケースが、最も高い年収を目指せる選択肢の1つといえます。
関連記事:トラック整備士の平均年収|乗用車整備士より給料は高いのか・年収アップのポイントを解説
まとめ
1級自動車整備士は、その希少性と高度な技術力から、年収500万円以上を現実的に目指せる資格です。
最新の電子制御システムや次世代自動車に対応できるスキルは、今後の自動車業界においてさらに価値が高まっていくことは間違いありません。
ただし、企業によっては2級整備士と待遇が変わらないケースもあるため、自身のスキルを正当に評価し、相応の手当やポストを用意している環境に身を置くことが重要です。
もし、整備士として着実な収入アップを実現したいと考えているなら、専門のアドバイザーへ相談することをおすすめします。
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