第二種電気工事士の次に取る資格・相性のいい資格3選
第二種電気工事士の次に取ると相性のいい資格について、以下の表にまとめました。
資格名 | 主な業務 |
|---|---|
第一種電気工事士 | 500kW未満の電気工事全般 |
電気工事施工管理技士 | 電気工事現場の施工管理 |
電気主任技術者 | 受電設備の保安監督・点検 |
第二種電気工事士の資格取得で得た知識は、上記の資格を取得する際にも、基礎知識の土台として活かせます。なおいずれの資格も一定の学習時間が必要なため、自分の理想と考えるキャリアから逆算して、本当に必要となる資格を取ることをおすすめします。
目的別｜次に取るべき資格の選び方
第二種電気工事士の取得後に、次に取るべき資格の選び方は以下を参考にしてください。
■現場の職人として稼ぎたい人
第二種電気工事士では扱えない工事を担当できる、第一種電気工事士の取得がおすすめです。
■現場の管理側で仕事したい人
現場の施工管理を担当できる、電気工事施工管理技士の取得がおすすめです。
■保守・保全の仕事をしたい人
新設より保守・保全の仕事を担当するなら、電気主任技術者（電験三種）の取得がおすすめです。
つづいては第一種電気工事士・電気工事施工管理技士・電気主任技術者について、仕事内容や取得メリットなどを詳しく見ていきましょう。
第一種電気工事士の仕事内容
第一種電気工事士は、第二種電気工事士では扱えない規模の現場も担当できるようになります。
たとえば第一種電気工事士を取得すると、第二種電気工事士で扱える範囲に加えて、最大電力500kW未満の自家用電気工作物（工場・ビルなど）の電気工事も担当できます。
たとえば第一種電気工事士の取得後には、以下の現場を担当できるようになるのです。
- 大型ショッピングモールの受変電設備増設工事
- 自動車工場の動力盤更新工事
- オフィスビルの高圧受電設備の更新に伴う低圧側改修
電気工事の現場では、第二種電気工事士は制限があるが、第一種電気工事士ならすべて担当できるケースも珍しくありません。つまり第一種電気工事士は、第二種電気工事士と比べて、扱う設備の規模と責任範囲が一段階上がる資格と言えるでしょう。
第一種電気工事士を取得するメリット
第一種電気工事士を取得するメリットは、仕事の規模や単価が広がることです。というのも自家用電気工作物を扱う現場（工場や大型ビルなど）は、第一種電気工事士や認定電気工事従事者など、一定以上の資格がないと工事に関われないからです。具体的なメリットは、以下のとおりです。
- 大規模案件に参加できる
- 残業単価や夜勤手当込みでの月収が上がりやすい
- 独立や転職の際も強みとして高く評価されやすい
実務の現場でも、第一種電気工事士を持っている30代の職長が引く手あまたのケースも多いです。
つまり第一種電気工事士は、職人として稼ぎたい方は、最優先で取っておきたい資格と言えます。
第一種電気工事士の資格難易度と勉強時間
第一種電気工事士は、第二種電気工事士より難易度が高いですが、第二種電気工事士の資格学習を終えたすぐ後に学習を再開すれば、十分合格できる難易度です。学科試験合格率は例年50%前後、技能試験は60%前後で推移しており、しっかりと対策すれば十分合格できるレベルでしょう。
目安となる学習時間は、150〜250時間です。なお第二種電気工事士の合格直後なら、配線図や電気理論の基礎が頭に残っているため、100時間～150時間の学習でも合格ラインに届きやすいです。
電気工事施工管理技士の仕事内容
電気工事施工管理技士は、工事現場の責任者として現場を管理する仕事です。
電気工事施工管理技士の主な仕事内容は、以下のとおりです。
- 工程管理
- 品質管理
- 安全管理
- 原価管理
とくに1級電気工事施工管理技士は、監理技術者や大規模プロジェクトの現場代理人に配置されることが多く、工事現場の全体をまとめて、工事を推進する立ち位置になります。
また現場の管理に加えて、以下のような仕事内容もあります。
- 朝礼で全職長を前に危険ポイントや工程の説明する
- 元請け・施主に工程遅れや設計変更への折衝をする
第二種電気工事士の職人は、現場でケーブルを引いたり、盤を据え付けたり、器具を取り付けたりします。一方で施工管理技士は、電気工事士を取りまとめる管理職の立ち位置と考えてください。
電気工事施工管理技士を取得するメリット
電気工事施工管理技士を取得するメリットは、年収と役職が上がりやすいことです。
なぜなら電気工事施工管理技士の有資格者の数が、公共工事の入札要件や現場の技術者配置要件に関わっているからです。とくに公共工事を受注する会社では、施工管理技士を何人抱えているかで対応できる工事の規模が変わるため、資格持ちの施工管理は売上に直結する人材になります。
だからこそ電気工事施工管理技士を取得して、施工管理技術者に仕事を変えると、残業代を含めば年収が50万円〜100万円上がるケースもあります。また現場代理人を経験すると、所長や拠点長といった管理職への昇進ルートが開けますし、転職市場でも即戦力として評価されやすくなります。
関連記事：
1級電気工事施工管理技士の年収は高い？2級や電気工事士と年収を比較
電気工事施工管理技士の資格難易度と勉強時間
電気工事施工管理技士は資格の取得難易度が高めの資格です。とくに1級電気工事施工管理技士の試験は、例年、ストレートの合格率が20％〜30％前後と低めとなっています。
資格が難しい理由は、第一次検定では、施工管理法・法規・電気工学などの知識問題が問われて、第二次検定は、施工計画・工程管理・安全管理などを経験記述で回答する必要があるためです。
なお資格の取得に必要な勉強時間の目安は、2級電気工事施工管理技士が150時間〜200時間です。また1級電気工事施工管理技士は、150時間〜300時間が一つの目安となっています。
第二種電気工事士として現場経験がある人であれば、6ヶ月〜1年間ほどで計画的に勉強すれば十分合格を目指せる資格と言えるでしょう。
関連記事：
1級電気工事施工管理技士の難易度は？他の電気系資格と比べた偏差値
電気主任技術者の仕事内容
電気主任技術者の仕事内容は、一定規模までの電気設備での保安監督業務になります。
具体的な勤務先の例としては、以下のとおりです。
- 工場の設備保全部門
- オフィスビル・商業施設のビルメンテナンス会社
- 発電所・変電所を持つ電力会社・エネルギー関連企業
電気工事士との大きな違いとして、定期点検や法令点検などの計画的な保守業務が中心だったり、
日常の記録・報告書作成・行政対応などのデスクワーク比率が高かったりすることがあります。
夜勤の職場も多いものの、肉体的にはそこまでハードではないと感じる人も多いのが特徴です。
電気主任技術者を取得するメリット
電気主任技術者の資格を取得する最大のメリットは、仕事の安定性とつぶしの効きやすさです。
なぜなら電気設備は社会インフラであり、不景気でも工場やビルなどの設備停止は不可能ですし、法令で電気主任技術者の選任が義務付けられているからです。
なお電気主任技術者を取得する方は、電気工事士からビルメンテナンスや保全の仕事にシフトして負担を軽くしたり、家族の時間を確保するために倉庫系企業に転職したりする技術者が多いです。
一方で残業代でガンガン稼ぎたい方は物足りなく感じるケースも多いため、ガツガツ稼ぎたいのかそれとも安定して稼ぎたいのかという価値観との相性を見て、資格の取得を選ぶことが重要です。
電気主任技術者の資格難易度と勉強時間
電気主任技術者は、第二種電気工事士と比べると、取得難易度は高いと言えます。なお電気主任技術者の試験は、以下の4科目で構成されています。
- 電力
- 機械
- 理論
- 法規
電気工学の基礎から高等数学レベルの内容まで幅広く問われるため、試験に合格するには、暗記と理解の両方が必要になります。なお目安となる勉強時間は、400〜600時間となっています。
1日1時間なら1年〜1.5年。1日2時間なら、6ヶ月〜1年のスパンで考えておくのが現実的です。
また第二種電気工事士で学んだオームの法則・交流回路の基礎、配線図・単線結線図の理解など、電気主任技術者の試験でそのまま活かせる内容もあります。電気主任技術者は難しい資格ですが、早めに勉強をスタートして、数年かけて資格学習に取り組めば、十分合格できるでしょう。
まとめ｜第二種電気工事士の取得後は転職活動をするのもおすすめ
本記事で紹介したとおり、第二種電気工事士の取得すべき、相性のいい資格は以下の3つです。
- 第一種電気工事士
- 電気工事施工管理技士
- 電気主任技術者
どの資格を取得すべきかは、あなたが理想とする働き方やキャリアによっても変わります。
なお実際に取得した第二種電気工事士を年収アップにつなげたい方は、新しい資格の学習だけではなく、自分の資格や経験を評価してくれる会社への転職も一つの選択肢です。
たとえば現職で第二種電気工事士の資格手当がもらえない場合でも、転職すれば、毎月1万円以上の資格手当がもらえる会社もありますし、基本給がアップして年収が50万円以上アップする可能性もあります。
そのため第二種電気工事士を取った今のタイミングで、あなたの資格や経験を高く評価してくれる会社やキャリアパスを探してみるのもおすすめです。
当社（プレックスジョブ）では、あなたが現在の転職市場でどのくらいの年収をもらえるかの年収診断を実施しているので、ぜひ一度、第二種電気工事士取得後の適正な年収相場を確認してください。
