組み込みエンジニアとは?仕事内容をわかりやすく解説
組み込みエンジニアとは、ハードウェアを制御するシステムを開発する専門職です。
家電製品、自動車、産業機器など、「モノ」の中に組み込まれ、その機能を意図通りに動かすためのシステムを開発する仕事です。
Web・アプリ系との違いは、Webが「画面やサーバー」なら、組み込みは「機械の動作」を作ります。
また、ハードウェアの知識(回路図が読める、メモリ管理など)が必要である点も違いです。
組み込みエンジニアの平均年収は574.1万円!年収の内訳も解説
.png?w=800&h=494)
結論からお伝えすると、システムエンジニアの平均年収は574.1万円です。
これは日本の全産業平均と比較しても明らかに高い水準です。
職種 | 年収 | 月収換算 |
|---|---|---|
システムエンジニア (組込み、IoT) | 574.1万円 | 47.8万円 |
機械設計技術者 | 669.4万円 | 55.8万円 |
電子機器技術者 | 755.2万円 | 62.9万円 |
全産業平均 | 460万円 | 38.3万円 |
参考:機械設計技術者 - 職業詳細 | 職業情報提供サイト(job tag)
電子機器技術者 - 職業詳細 | 職業情報提供サイト(job tag)
システムエンジニア(組込み、IoT)- 職業詳細 | 職業情報提供サイト(job tag)
国税庁 令和5年分民間給与実態統計調査
一見すると機械・電気設計より低く見えますが、これは集計に含まれる企業規模の幅が広いことで、設計は大手の比率が多い影響もあります。
昨今のトレンド(EV、IoT)では、ソフトを制御できるエンジニアが開発の主導権を握ることも多く、実力あるエンジニアの年収は機械・電気系を凌駕するケースも増えています。
組み込みエンジニアの年齢別の平均年収
.png?w=800&h=489)
次に、組み込みエンジニアの収入が、年齢によってどう変わっていくかを見てみましょう。
年齢 | 平均年収 | 月収換算(目安) |
|---|---|---|
~19歳 | 235.47万円 | 19.6万円 |
20~24歳 | 347.78万円 | 28.9万円 |
25~29歳 | 469.6万円 | 39.1万円 |
30~34歳 | 541.14万円 | 45万円 |
35~39歳 | 631.35万円 | 52.6万円 |
40~44歳 | 650.52万円 | 54.2万円 |
45~49歳 | 737.98万円 | 61.4万円 |
50~54歳 | 695.43万円 | 57.9万円 |
55~59歳 | 730.76万円 | 60.8万円 |
60~64歳 | 557.06万円 | 46.4万円 |
参考: システムエンジニア(組込み、IoT)- 職業詳細 | 職業情報提供サイト(job tag)
上記の表より、組み込みエンジニアの年収は年齢が上がるごとに増えていることが分かります。
長期的に技術を磨いていくことが、年収アップにつながると言えるでしょう。
組み込みエンジニアのスキル別の平均年収
年収を左右するのは年齢だけではありません。
「何ができるか」というスキルレベルも大きく影響します。
ITスキル標準(ITSS)のレベル分けに基づいた年収目安を見てみましょう。
スキルレベル | レベル詳細 | 年収目安 |
|---|---|---|
ITSSレベル1~2 | IT企業における実務未経験者や新入社員~一定範囲内の作業であれば独力で担当することができるレベル | 420万円 ~ 620万円 |
ITSSレベル3 | 高度 IT 人材としてのスキルを有しているレベル | 450万円 ~ 700万円 |
ITSSレベル4 | よりハイレベルな、高度 IT 人材に該当するレベル | 500万円 ~ 780万円 |
ITSSレベル5以上 | ハイレベルな高度 IT 人材のなかでも、上位に該当するレベル以上 | 600万円 ~ 950万円以上 |
参考: システムエンジニア(組込み、IoT)- 職業詳細 | 職業情報提供サイト(job tag)
上記の表から、自分自身のできることを着実に増やしていくことは、確実な収入アップにつながるといえるでしょう。
未経験の組み込みエンジニアの年収
未経験の組み込みエンジニアはいったいいくら稼げるのでしょうか。
結論から言うと、未経験の方の経験年数別の所定内給与額のデータをもとにした未経験1年目の年収は約342.48万円です。
所定内給与額とは、基本給と、所定労働時間内の労働に対して支払われる諸手当を合わせた金額です。
ここには、残業代などは含まれないため、かなり下限想定で実際はもう少し多く支払われることがほとんどです。
参考: システムエンジニア(組込み、IoT)- 職業詳細 | 職業情報提供サイト(job tag)
組み込みエンジニアの年収を決める要因

なぜ同じ組み込みエンジニアでも年収が大きく異なるのでしょうか。年収を決める3つの大きな要素について解説します。
業界・商流
年収にインパクトを与えるのが「業界」と「商流」です。
例えば以下のような需要のある業界は年収が高い傾向にあります。
- 半導体
- 自動車
- FA(ファクトリーオートメーション)
こうした業界は以下のような特徴に当てはまることが多いです。
- 精密さが求められて少し難易度が高い
- 大手企業が多い
- 製品の利益率が高く給料に還元しやすい
そのため、このような業界では同じ組み込みエンジニアでも年収が比較的高い傾向があります。
企業規模
次に年収に影響するのが企業規模です。
企業規模 | 機械技術者の年収 |
|---|---|
全体平均 | 574.1万円 |
1,000人以上 | 655.6万円 |
100~999人 | 548.9万円 |
10~99人 | 516.6万円 |
参考: システムエンジニア(組込み、IoT)- 職業詳細 | 職業情報提供サイト(job tag)
厚生労働省の調査によると機械技術者の年収は、1,000人以上の企業はそれ以下の規模の企業と平均して100万円以上の平均年収の差があることがわかります。
大手企業の方が待遇が良いことは当然多く、福利厚生も充実しやすい傾向にあります。
ただし、大手企業は難易度も高いので、以下のような方法で隠れた優良企業を見つけるのも賢い戦略であり、おすすめです。
- 規模は問わず業界で絞って高待遇の企業を見つける
- 非公開求人を紹介してもらう
スキル(言語・領域)
C言語のようなプログラミング言語だけでなく、以下のようなスキルもお勧めです。
- OSスキル(Linux、RTOSなど)
- ハードウェア知識(回路図面が読めるか)
上記のような領域の深さと広さのあるスキルは年収アップにつながります
役職・経験年数
エンジニアは、経験を積むことによって昇給していくことができる職種です。
そのため、ある程度長期的に努力を重ねることで、高い収入を得ることができます。
また、実装だけでなく以下のような条件で年収が上がることがあります。
- 要件定義
- 顧客折衝
組み込みエンジニアの将来性は高い
結論から言えば、組み込みエンジニアの将来性は非常に高いです。この章では、その理由を徹底解説していきます。
IoT・AIの普及で重要性が拡大
あらゆるモノがインターネットにつながるこの時代において、組み込みエンジニアの活躍の場は爆発的に広がっています。
特に、FA機器(ロボット)など、リアルタイム性が求められる領域で、エッジコンピューティングが不可欠で組み込みエンジニアの需要が非常に高くなっています。
EV・自動運転など自動車業界の変化
自動車業界の変化も組み込みエンジニアの将来性を高めています。
FA機器に加えて例えば以下のような製品も新しい産業として広がっています。
- EV(電気自動車)
- ドローン
こうした成長産業に身を置くことは同時に年収アップのチャンスとなります。
人手不足で特に若手の需要が高い
ベテランの不足は、若手の需要を高めています。
経済産業省の報告によれば、2002年以降、製造職の若年層の就業者は減少しつつも、就業者全体の数は横ばいで推移しています。
これは「人手は必要だがベテランが現場を支えており、若手が不足している」ことを示しており、今後ますます人材の需要が高まっていくと予測されます。
仮に現在の給料が低くても、それは会社選びや業界選びの問題である可能性が高いです。
また、C言語といった主流な言語だけでなくPythonやAIなど新しい分野に対応できる(しやすい)若手は需要が高いです。
工場勤務の将来性について詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてみてください。
関連記事はこちらから:工場勤務の将来性は高い?残る仕事と長く勤めるコツ【製造業の将来性をやさしく解説】
組み込みエンジニアに向いている人

組み込みエンジニアとして成功する可能性の高い、エンジニアに向いている人の特徴について解説していきます。
実際にモノが動くことに喜びを感じられる
あくまでも開発は手段であり、目的はより良い製品ができることです。
だからこそ、実際に動いたものに達成感を感じられると仕事も長く続けやすくなります。
この「モノづくりの手触り感」に喜びを感じられるなら、あなたはWeb系よりも組み込み系で輝ける人材といえます。
ハードウェアや回路図など隣接領域にも興味がある
ソフトだけでなく、隣接領域の知識があることは重宝されやすいです。
今は理解がなくとも、知識を入れていくことを重要だと思うのであれば、適性があると言えるでしょう。
地道に検証を続けられる
原因不明のバグに対して、粘り強く検証できる忍耐力は不可欠です。
また、技術革新の激しい分野だからこそ新しい知識を学び続ける意欲があることも大切です。
組み込みエンジニアとして年収1000万円を目指す具体的な方法

この章では、組み込みエンジニアとして年収アップを目指すための具体的な方法について、ご説明していきます。
今の会社でPMやPLに立候補する
最も手堅い方法は、社内でポジションを上げることです。
今の会社が気に入っている場合、実装以外への幅を広げることが年収を上げるうえで効果的な実績になります。
- 顧客折衝
- 要件定義
プログラミングスキルに加え、「プロジェクトを完遂させる能力」を証明できれば、管理職待遇への道が開けます。
当然、C言語のような一般的な開発スキル以外を習得するのも一つの手となります。
高年収企業へ転職
今の会社では、収入アップに限界がある場合は転職が最短ルートとなります。
下記の条件を満たすことで、年収アップの可能性は上昇します。
- 上流工程に携われる
- 商流が高い
大手メーカーなどで要職に就くことが王道の転職先となります。
英語を習得する
もしさらなる高みを目指すなら、英語力が強力な武器になります。
英語マニュアルへの抵抗感をなくし、外資系半導体メーカーやサプライヤーを目指すことで、年収1000万円超えを狙えるでしょう。
組み込みエンジニアの年収が気になる人からよくある質問

最後に、転職を検討している組み込みエンジニアの方からよく寄せられる質問にお答えします。
組み込みエンジニアは稼げるのか?
稼げます。
平均年収は約574万円と全産業平均を大きく上回っています。
平均年収+年齢やスキルでの上限を提示することで年収アップも叶えることが可能になります。
一番稼げるエンジニアは何ですか?
厚生労働省によるとシステムエンジニア(基盤システム)が最も稼げるようです。
その平均年収は752.6万円です。
参考:システムエンジニア(基盤システム)- 職業詳細 | 職業情報提供サイト(job tag)
組み込みエンジニアに向いている人は?
以下のような特徴を持つ方は、組み込みエンジニアに向いています。
- 実際にモノが動くことに喜びを感じられる
- ハードウェアや回路図など隣接領域にも興味がある
- 地道に検証を続けられる
自分自身が向いているのか、この機会にぜひ確認してみてください。
組み込みエンジニアの年収ランキングは?
転職での年収アップを見据えた際に、以下の業界がおすすめです。
順位 | 業界 |
|---|---|
1位 | 半導体・製造装置業界 |
2位 | 自動車・輸送機器業界 |
3位 | FA・産業用ロボット業界 |
4位 | 医療機器業界 |
5位 | 家電・民生機器業界 |
※主要企業の有価証券報告書(平均年収データ)と、プレックスジョブの求人トレンドを基に編集部が独自選定
自身のスキルを磨きつつ、しっかりとそれを評価してくれる業界に属することが収入アップの近道となるでしょう。
まとめ
この記事では、組み込みエンジニアは、年収も高水準で将来性も高い仕事であると分かりました。
もしあなたが、現在の収入に満足していないならば、異なる業界・企業規模の会社への転職や新たな技術を磨くことを検討してみると良いかもしれません。
まずは次のステップとして、まずはこれまでの経験を活かせる組み込みエンジニアの求人がどれくらいあるのか、市場価値を把握することをおすすめします。
プレックスジョブでは、専門のキャリアコンサルタントが、あなたの年収アップと安定したキャリアの実現を全力でサポートします。



















