施工管理の業務に必要な能力・身につくスキル10選
施工管理の業務に必要な能力と実務で身につくスキルは、以下のとおりです。
- コミュニケーション能力
- 工程管理能力
- 安全管理能力
- 品質管理能力
- 原価管理能力
- 先読み力・想像力
- 問題(課題)解決能力
- リーダーシップ・推進力
- パソコンスキル(Excelなど)
- 専門ソフトの理解(CADなど)
コミュニケーション能力
施工管理の業務をするうえで、最も重要な能力の一つがコミュニケーション能力です。
ただし施工管理で必要なコミュニケーション能力とは、単に『相手と明るくお喋りができる』ことではありません。施工管理の業務で必要なコミュニケーション能力とは、立場の違う相手に正確に情報を伝えて、こちらの要望通りに動いてもらう交渉力を言います。
たとえば工事現場には、自分より年上の職人も多いです。年齢も経験も上の職人に依頼する際に、「〇〇の作業を明日までに終わらせてほしい」と命令すれば反発されるケースもあります。
そのため実務の現場では、以下のコミュニケーションスキルが求められるでしょう。
■傾聴力
職人の意見や不満を聞き入れて、信頼関係を築く。
■伝達力
図面や工程での変更点について、具体的に伝える。
■調整力
設計者と現場の板挟みになった際は、双方が納得する着地点を見つける。
たとえば営業職や接客業の経験がある方は、相手の立場に立って話したり、要望を整理して伝えたりするスキルをすでに持っているケースが多いため、すぐに使える能力になるでしょう。
工程管理能力
工程管理とは、工事を工期(納期)内に完了させるためにスケジュールを管理する業務です。
たとえば一つの作業が遅れれば、その後の業者手配をすべて修正する必要もあります。現場では、天候悪化や資材の遅延などのトラブルが頻繁に起こります。そのため工程表を使って進捗管理し、遅れが出そうな際には、職人を増員したり作業手順を入れ替えたりしてリカバリーが必要です。
たとえば製造現場や物流で、生産計画やシフト作成の経験がある方は、工程管理能力が高い傾向にあります。とはいえ工程管理能力は、すぐに身につけられる能力ではありません。入社後に先輩の補助をしながら、徐々に身につければ問題ありません。
安全管理能力
安全管理とは、現場での事故や災害を未然に防ぐ業務です。
どれほど素晴らしい建物ができても、トラブルが起きれば、プロジェクトは失敗とみなされやすいです。なぜなら工事がストップして、会社の社会的信用も低下してしまうからです。
そのため工事現場では、以下のような活動を徹底しています。
■KY(危険予知)活動
朝礼で今日の作業場で危険な場所を職人と共有する。
■是正指示
ヘルメットが緩んでいたり、足場が不安定になっていたりすると、すぐに作業を止めて直させる。
職人から「うるさい」と言われても、職人を守るために厳しく指摘することが求められます。たとえば工場勤務で安全衛生教育を受けてきた方なら、施工管理でも過去の経験を活かせるでしょう。
品質管理能力
品質管理は、完成した建造物が図面や仕様書のどおりに作られていることを確認する業務です。
というのも建物が完成すると、壁の中や床の下は見えなくなります。そのため、施工中の各段階で『正しく作られたこと』を証明する記録が必要になるのです。実際の作業は、以下のとおりです。
■写真撮影
鉄筋の本数や太さ、コンクリートの打設状況などを黒板入りで撮影する。
■寸法計測
柱の位置や配管の勾配が、許容範囲内の誤差に収まっているかメジャーなどで測定する。
品質管理は、几帳面な方やコツコツとした作業が得意な方に向いている業務です。品質管理では、図面・仕様書・施工要領書などを理解する力も必要ですが、最初から完璧な必要はありません。
未経験の方でも、分からなければすぐ確認する姿勢があれば、OJTで身につけられるでしょう。
原価管理能力
原価管理は、決められた予算内で工事を完了させて、会社の利益を確保する業務です。
工事の現場では、材料費・人件費・重機代など、多くのお金がかかっています。そのため無計画に発注したり追加の人件費がかかったりすると、会社が赤字になってしまいます。実務の現場では、工事の開始前に予算を決めたり、高品質で安い材料に変更できないか検討したりします。
そのため営業職で数字目標を追っていた方や店舗管理でコスト意識を持っていた方は、原価管理の業務を苦にせずに進めやすいでしょう。未経験の方の場合、最初は難しく感じるかもしれません。ただしOJT期間の中で、現場で少しずつ学んでいけば、原価管理の業務も覚えられるでしょう。
先読み力・想像力
施工管理の現場では、工事で起こるトラブルを想像して、あらかじめ対処する能力も必要です。
というのも工事現場では、トラブルが頻繁に起こるため、次に何が起こるかを常に想像し、先回りして対処する力が求められるからです。たとえば翌日にコンクリート打設の予定があるが、天気が雨の予報の場合には、養生シートの準備が必要ですし、夜間になるなら投光器が必要になります。
現場で起こりそうなトラブルを先にイメージすれば、未然にトラブルを防げますし、工期どおりにスケジュールを進めやすくなります。未然にトラブルを防ぐことで、現場の職人さんもスムーズに仕事を進められるので、人間関係を作るためにも先読み力が必要になるのです。
問題(課題)解決能力
本記事で紹介しているとおり、施工管理の現場では、予期せぬトラブルが発生します。
たとえば図面と現場の寸法が合わなかったり、発注した資材が届かなかったり、近隣住民から騒音のクレームがきたりするなど、細かいトラブルは頻発します。施工管理には、これらのトラブルに冷静に対処して、工事を進める能力が必要となります。具体的には、以下の対応が必要です。
■事実確認
トラブルの内容を正確に把握する
■報告・連絡・相談(ホウレンソウ)
上司や設計者などに状況を共有する
■代替案の提示
トラブルに対する解決策を提案する
施工管理の問題解決能力は、元々の地頭だけではなく、これまでの経験次第で大きく変わります。たとえば営業や顧客対応としてクレーム対応してきた方は、過去の経験を活かしやすいでしょう。
リーダーシップ・推進力
施工管理の役割は現場の責任者であり、数十人以上の職人を導くリーダーシップが求められます。
施工管理の業務を進めるうえで、重要なのは『現場を必ず完工させる』という責任感と熱意です。たとえば高校や大学の部活動でキャプテンを経験した方や、アルバイトや正社員で店舗リーダーや新人教育を任されてきた方は、リーダーシップや推進力が高い傾向にあります。
パソコンスキル(Excelなど)
施工管理(現場監督)は、肉体労働と思われやすい仕事ですが、デスクワークの時間も多いです。
たとえば日中は現場を巡回して、現場終了後に事務所に戻ってから書類作成することも多いです。そのため基本的なパソコンスキルは、施工管理の仕事でも必須となります。
■Excel
施工管理の現場では、工程表の作成、予算管理、写真台帳の整理などで頻繁にExcelを使用します。関数(SUMなど)や表計算ができれば、業務効率が格段に上がるでしょう。
■Word
施工管理の現場では、施工計画書や議事録、近隣への挨拶文の作成などでWordを使います。
プログラミングスキルなどは必要ありませんが、タイピング速度やショートカットキーの活用は、自分自身の残業時間を減らすために直結するスキルとなります。
そのためデスクワークや営業事務を経験がある方は、パソコンスキルを活かしやすいでしょう。
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施工管理の仕事に必要なパソコンスキル8選
専門ソフトの理解(CADなど)
施工管理の現場では、図面の作成や修正にCADという専門ソフトを使用します。また最近は、現場管理専用のアプリ(ANDPADやサクミルなど)を使用する企業も増えています。
施工管理は管理がメインの仕事なので、専門家レベルでCADを操作する必要はありません。ただし以下のようなレベルの読み書きができると、仕事がかなりスムーズになるでしょう。
- 図面で寸法や納まりを確認できる
- 図面の一部を拡大できる
- 簡単な修正指示や赤入れの意図を理解できる
CADソフトの扱い方は入社後の研修で使い方を覚えられるケースが多いです。そのため入社時点で使えなくても心配はいりません。ただし面接で「独学でCADの操作をしてみた」などのアピールができれば、未経験でも学習意欲の高さをアピールできるでしょう。
まとめ|施工管理の業務に必要な能力は実務の現場で身につけられる
本記事で紹介した施工管理の業務に必要な能力と実務で身につくスキルは、以下のとおりです。
- コミュニケーション能力
- 工程管理能力
- 安全管理能力
- 品質管理能力
- 原価管理能力
- 先読み力・想像力
- 問題(課題)解決能力
- リーダーシップ・推進力
- パソコンスキル(Excelなど)
- 専門ソフトの理解(CADなど)
これから施工管理の仕事を進める方は、上記のうち、自分が持っているどのスキルを活かせるかを考えてみましょう。転職で面接を受ける際にも、「自分の〇〇の能力・スキルを御社の施工管理で活かせると思っています」などと伝えると、高い評価を得やすいです。
またすでに施工管理として働いている方は、上記の能力やスキルを磨けば、社内で昇格できたり、転職で年収アップしたりできるでしょう。

















