1級施工管理技士補は主任技術者になれる?担当できる条件を解説
1級施工管理技士補の方は、1級施工管理技士の第一次検定に合格した後に、3年以上の実務経験を積むことで主任技術者を担当できます。
なお1級施工管理技士補を取得するだけでは、主任技術者になれない点に注意が必要となります。つまり1級施工管理技士の第一次試験に合格した直後は、主任技術者の担当はできません。
ただし1級施工管理技士補の方は、監理技術者補佐として、すぐに活躍が可能になります。
1級施工管理技士補を採用する企業は、まず監理技術者補佐を担当させて、担当要件である3年間の実務経験後に、主任技術者を担当させるキャリアパスを描いているケースも多いです。
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1級施工管理技士補ができる業務はなにがある?
1級施工管理技士補が担当する業務には、主に以下の3つがあります。
- 監理技術者補佐として施工計画を立案
- 工程管理や安全管理などの現場管理
- 特例監理技術者の補佐
監理技術者補佐として施工計画を立案
1級施工管理技士補の主な業務の一つが、監理技術者の指示のもとで行う施工計画の作成です。
監理技術者補佐が必要とされる大規模プロジェクトでは、作成する施工計画書の量が膨大なため、1級施工管理技士補は以下のような業務をサポートすることが多いです。
- 施工要領書の作成サポート
- 仮設計画の立案
- 実行予算の検討資料作成
上記の3つは、ただ単に書類作成を補助するだけではありません。1級施工管理技士の第一次試験を突破した専門知識を活かして、技術的な側面から監理技術者の判断を支えるポジションです。
担当するプロジェクトによっては、監理技術者が全体マネジメントに集中するために、詳細な工事計画の作成を、1級施工管理技士補に一任しているケースもあります。
工程管理や安全管理などの現場管理
1級施工管理技士補は、日常的な現場管理業務も中心的な立場で担当します。
具体的に、担当する日常的な現場業務は以下のとおりです。
■工程管理
- 週間工程表の作成
- 業者間の調整
- 遅延時のリカバリー案作成など
■品質管理
- 配筋検査の記録
- コンクリート打設管理の記録
- 写真管理など
■安全管理
- 新規入場者教育の実施
- 安全パトロールの巡回など
1級施工管理技士補の場合、将来の監理技術者候補として、より広い視座での管理が求められます。たとえば下請け業者の職長との打ち合わせを主催して、現場全体の安全衛生責任者としての役割を代行するケースもあります。
特例監理技術者の補佐
建設業法の改正により、特例監理技術者制度が導入されました。通常、特定建設業の現場(下請け発注額5,000万円以上、建築一式は8,000万円以上)の場合、監理技術者を専任配置が必須です。
しかし1級施工管理技士補を監理技術者補佐として専任配置する場合に限って、監理技術者は2つの現場を兼任できるようになりました。現場での運用イメージは、以下のとおりです。
■監理技術者
2つの現場を兼任して、巡回管理を行う。
■監理技術者補佐(技士補)
1つの現場に常駐して、日常の施工管理を担当する。
監理技術者補佐という立ち位置ですが、実質的に、現場責任者として現場を回すことになります。
1級施工管理技士補を取得するメリット
1級施工管理技士補を取得するメリットは、以下の3つです。
- 大規模現場(特定建設業)に携われる
- 現在の職場で昇進・昇格しやすくなる
- 転職市場でも高い評価を得やすくなる
大規模現場(特定建設業)に携われる
1級施工管理技士補の大きなメリットは、特定建設業の現場に関われることです。
たとえば2級施工管理技士の場合、一般建設業の主任技術者にしかなれず、一定規模(下請金額5,000万円以上)を超える工事の技術上の責任者にはなれません。一方で、1級施工管理技士補なら監理技術者補佐として、数十億円規模の大規模プロジェクトを担当するチャンスもあります。
地図に残るようなランドマークの建設や大規模なインフラ工事の最前線で、責任あるポジションに就けます。そのため仕事のやりがいも感じやすいですし、経験値も積みやすくなるでしょう。
現在の職場で昇進・昇格しやすくなる
1級施工管理技士補は実務経験3年で主任技術者になれますし、将来的には、第二次検定に合格して1級施工管理技士を取得してくれると考えられます。監理技術者の補佐として、会社の売上や利益を上げてくれる人材でもあるので、高い評価も得やすいです。
そのため会社への貢献性が評価されるので、社内の人事評価も高い評価を得やすいでしょう。また1級施工管理技士の第二次検定の合格で、監理技術者を担当できるようにもなります。
転職市場でも高い評価を得やすくなる
1級施工管理技士補は、公共工事の入札ランクを決定する経営事項審査の加点対象になります。
- 1級施工管理技士:5点
- 1級施工管理技士補:4点
- 2級施工管理技士:3点
とくに公共工事をメインに取り扱う企業は、経営事項審査の点数を上げることが、会社として受注できるプロジェクトに直結します。そのため1級施工管理技士補の採用に積極的ですし、転職時に高い評価を得やすくなります。また20代や30代前半で1級施工管理技士補の方は、ポテンシャルや将来性を高く評価されるケースも珍しくありません。
実際に当社(プレックスジョブ)では、1級建築施工管理技士補の方(20代前半)が、従業員数が50名規模の地方工務店からスーパーゼネコンへの転職に成功した事例もあります。
1級施工管理技士補から1級施工管理技士になる条件
1級施工管理技士補から1級施工管理技士になるには、第二次検定の合格が必要になります。
なお1級施工管理技士補(第一次試験)の合格は無期限で有効なので、第二次検定はいつでも受験可能です。ただし所定の実務経験(1年〜3年程度)が必要なので、現場での実務経験を積みつつ、並行して1級施工管理技士の第二次検定の対策を進めておくことをおすすめします。
また監理技術者補佐での現場経験は、第二次検定の記述試験(経験記述)で強い材料になります。そのため日々の業務で発生したトラブルや工夫した点をメモに残しておくことがおすすめです。
まとめ|1級施工管理技士補は条件次第で主任技術者も可能
本記事で紹介したとおり、1級施工管理技士補は、3年の実務経験をすることで主任技術者の担当が可能になります。なお1級施工管理技士補のメリットは、主任技術者の担当だけではありません。
大規模なプロジェクトを担当できたり、転職以上でも高い評価を受けたりできるので、1級施工管理技士補を取得するメリットは十分あると言えます。また1級施工管理技士になれば、監理技術者として大規模現場の責任者も担当できます。そのため1級施工管理技士補の取得を悩んでいるなら、できるだけ早いタイミングで取得して、第二次検定の合格を目指すことをおすすめします。

















