過積載の定義ってなに?
過積載とは「道路運送車両法」に規定されているトラックの荷台部分に積載する量が最大積載量を超えていることを意味しています。もちろん法令違反となりますし、事故の原因となることも多くあります。

過積載は法律で罰せられる重大な罪
過積載状態にあるトラックを運転しているのはドライバーですから、罰則はドライバーが受けることが多いのですが、実際には事業主や荷主の指示で過積載になることが多いためにそれぞれに罰則が規定されています。
事業主に対する罰則
事業主が運転するドライバーに対して過積載での走行を指示していた場合は事業主が罰せられることになります。
過積載の程度 | 初回の停止日数 | 2回目 | 3回目 | 4回目 |
|---|---|---|---|---|
最大積載量の5割未満超過 | 10日×違反車両数 | 30日×違反車両数 | 80日×違反車両数 | 200日×違反車両数 |
最大積載量の5割以上10割未満超過 | 20日×違反車両数 | 50日×違反車両数 | 130日×違反車両数 | 330日×違反車両数 |
最大積載量の10割以上超過 | 30日×違反車両数 | 80日×違反車両数 | 200日×違反車両数 | 500日×違反車両数 |
累積点数が80点を超えた場合は運送業許可が取り消しになります。それより少ない点数でも、事業者名の公表や事業許可の取り消しの罰則もあります。
荷主に対する罰則
過積載の指示を行った荷主については、
- 再び過積載を行う可能性があると判断される・・・警察署長の名前で「再発防止命令」が出される
- 再発防止命令をさらに違反した場合は6ヶ月以下の懲役もしくは10万円以下の罰金
という罰則が発生します。
運転手に対する罰則
過積載を行ったドライバーについては、超過割合に応じて罰則が決まり、以下のようになります。
過積載の割合 | 違反点数 | 反則金 |
|---|---|---|
最大積載量の5割未満超過 | 2点 | 3万円 |
最大積載量の5割以上10割未満超過 | 3点 | 4万円 |
最大積載量の10割以上超過 | 6点 | 6ヶ月以下の懲役または10万円以下の罰金 |
過積載の罰則
運転手への罰則は前項でご紹介しましたが、過積載の割合が大きく悪質と認められた場合は「即時告発」が行われるように2015年の法改正で定められました。即時告発を受けた場合は100万円以下の罰金刑になることがあります。
過積載はどうして危険なの?
制動距離が伸びてしまうから
過積載の状態だとブレーキをかけてから実際にブレーキが利いて車が停止する距離「制動距離」が延びてしまうことになります。
これは想定されている以上の重さが車にかかっているために「重いものほど止まりにくい」という法則が発生するからです。また、重い分だけ衝突してしまった場合はその衝撃が大きくなってしまいます。

ブレーキが利かなくなる可能性があるから
それぞれの車両には規定された重さに対応する部品が備え付けられています。過積載の場合はその規定量を超えているために加速や停止をするたびに
- エンジン
- アクセル
- ブレーキ
に負担が大きくかかることになります。特に止まるために必要以上に力がかかるブレーキは故障しやすくなり、重要なときにブレーキが利かないということにもなりかねません。
車体が横転する危険性があるから
過積載しているトラックはバランスが悪い状態になっています。加速時、停止時、カーブの際には車体が揺れたり傾いたりすることがあり、急カーブなどでは横転する可能性もあります。
過積載が原因の事故例

過積載による事故例その1
平成24年3月29日に京都のコンビニ駐車場でトラックがコンビニスタッフを店舗の壁との間に挟むという事故が起こりました。
このトラックは最大積載量が2.4tであったのに対して8tもの積載を行っており、バックで駐車しようとした際に車止めを超えてコンビニスタッフに衝突したものです。
過積載による事故例その2
平成16年、岐阜県でトラックと普通車の正面衝突事故が起こりました。過積載であったトラックが走行中にパンクしたことによってハンドル操作ができなくなり、対向車線に大きくはみ出したことで起きた事故です。
まとめ
できるだけ荷物を多く積載した方が効率が良い、儲かると考えて過積載で走行しているトラックがありますが、法令違反による罰則があるだけでなく重大な事故を引き起こす可能性もある危険な行為です。
安全運転のためにも過積載での走行は絶対にやめましょう。





















