観光バス運転手とは?仕事内容や必要な資格を解説
まず、観光バス運転手の仕事について具体的に見ていきましょう。同じ「バス運転手」でも、種類によってその役割は大きく異なります。
バス運転手の種類や仕事内容
バス運転手の主な職種は、以下の4つに分類されます。
職種 | 業務概要 |
|---|---|
路線バス | 決められた路線と時刻表通りに、バス停に停車しながら運行。 |
観光バス | 観光を目的とした乗客を乗せ、目的地へ運行。 |
高速バス | 都市間などを結ぶ高速道路を主体に運行し、長距離を移動。 |
送迎バス | 特定の施設と駅などを結び、「決まった人(従業員、生徒、宿泊客など)」を輸送。 |
観光バス運転手として働くためには、大型二種免許が必須です。
これは、乗客を乗せて運賃を受け取る「旅客運送」を行うために必要なプロフェッショナルライセンスです。
取得条件は以下の通りです。
- 満21歳以上であること
- 普通免許、準中型免許、中型免許、大型免許、大型特殊免許のいずれかの免許を取得しており、その運転経歴が通算して3年以上あること
- 視力が両眼で0.8以上、かつ、一眼でそれぞれ0.5以上であること
- 三桿法による深視力検査で、3回の平均誤差が2センチメートル以下であること
- 聴力が両耳で10メートルの距離で90デシベルの警音器の音が聞こえること(補聴器使用可)
参考:茨城県警察
観光バス運転手の平均年収は461万円

観光バス運転手の平均年収は、トラックドライバーや他の産業と比較してどのような水準にあるのでしょうか。
結論から言うと、観光バス運転手の平均年収は461万円です。
これは、トラックドライバー全体の平均年収と比較するとやや下回りますが、日本の全産業の平均年収とほぼ同水準です。
職種 | 平均年収 | 月収換算(目安) |
|---|---|---|
観光バス運転手 | 461万円 | 約38万円 |
トラックドライバー | 491万円 | 約41万円 |
全産業平均 | 460万円 | 約38万円 |
参考:観光バス運転手 - 職業詳細 | 職業情報提供サイト(job tag)
国税庁 令和5年分民間給与実態統計調査
このデータを見て、長距離トラックなどで目一杯働いた場合の最高年収と比較すると、見劣りするかもしれません。
しかし、観光バス運転手はバス会社に正社員として雇用される場合、比較的安定した給与体系であることが多く、安心して長く働き続けられます。
- 地域ごとの年収の違い
- 年齢による年収の違い
- 初任給と経験年数ごとの給料
地域ごとの年収の違い
観光バス運転手の年収は、働く地域によっても差があります。
観光バス運転手の年収が高い都道府県トップ5を、以下の表にまとめました。
ランキング | 都道府県 | 平均年収(目安) | 月収換算(目安) |
|---|---|---|---|
1位 | 京都府 | 約562.3万円 | 約46.9万円 |
2位 | 東京都 | 約561.2万円 | 約46.8万円 |
3位 | 兵庫県 | 約540.9万円 | 約45万円 |
4位 | 大阪府 | 約537.9万円 | 約44.8万円 |
5位 | 広島県 | 約532.6万円 | 約44.3万円 |
当然ながら、観光需要の多い大都市圏や、大手バス会社の本拠地がある地域で高い傾向が見られます。
一方で、観光地が少ない地域や地方都市では、年収が全国平均を大きく下回るケースもあります。
以下、観光バス運転手の年収が安い都道府県トップ5をまとめています。
ランキング | 都道府県 | 平均年収(目安) | 月収換算(目安) |
|---|---|---|---|
1位 | 秋田県 | 約277.8万円 | 約23.1万円 |
2位 | 青森県 | 約315.4万円 | 約26.2万円 |
3位 | 大分県 | 約320.1万円 | 約26.7万円 |
4位 | 山形県 | 約322.4万円 | 約26.9万円 |
5位 | 岩手県 | 約328万円 | 約27.3万円 |
上記の表から、秋田や青森は最も平均年収の高い京都と比較すると、約300万円も平均年収に差があることが分かりました。
ご自身のライフプランと照らし合わせて、どの地域で働くかを検討することが非常に重要です。
応募しようとする会社の給与水準が、その地域の相場と比べて適正かどうかを見極める必要があります。
参考:観光バス運転手 - 職業詳細 | 職業情報提供サイト(job tag)
年齢による年収の違い

次に、年齢によって年収がどう変わっていくかを見てみましょう。
年齢区分 | 平均年収(目安) | 月収換算(目安) |
|---|---|---|
~19歳 | 約285.3万円 | 約23.8万円 |
20~24歳 | 約323万円 | 約26.9万円 |
25~29歳 | 約418.8万円 | 約34.9万円 |
30~34歳 | 約434.8万円 | 約36.2万円 |
35~39歳 | 約465.7万円 | 約38.8万円 |
40~44歳 | 約498.8万円 | 約41.56万円 |
45~49歳 | 約498.6万円 | 約41.5万円 |
50~54歳 | 約522.7万円 | 約43.5万円 |
55~59歳 | 約519.7万円 | 約43.3万円 |
60~64歳 | 約419.7万円 | 約34.9万円 |
このデータから分かるのは、バス運転手の年収は経験年数に比例して、年収も増えていくということです。
また、バス運転手の年収は50〜54歳でピークを迎えるということがわかります。
さらに、待遇の良い企業への転職や管理職へキャリアアップすることで、平均年収を大きく上回る600万円以上の年収を目指すことも十分に可能です。
参考:観光バス運転手 - 職業詳細 | 職業情報提供サイト(job tag)
初任給と経験年数ごとの給料

次に、経験年数による給与の違いを見ていきましょう。
経験年数 | 所定内給与額(月給) |
|---|---|
0年 | 約26.5万円 |
1~4年 | 約22.6万円 |
5~9年 | 約24.7万円 |
10~14年 | 約25.6万円 |
15年以上 | 約27.3万円 |
参考:観光バス運転手 - 職業詳細 | 職業情報提供サイト(job tag)
上記の表から、経験年数が増えるごとに所定内給与額も増えていることが分かります。
つまり、長年の経験がしっかりと収入につながる環境であるといえるでしょう。
観光バス運転手と運送関連職の年収・給料を比較

バス運転手以外の「運転」に関わる仕事と年収を比較してみましょう。
職種 | 平均年収(目安) | 月収換算(目安) |
|---|---|---|
クレーン運転士 | 526.8万円 | 約43.9万円 |
大型・長距離トラック | 492.0万円 | 約41万円 |
ダンプカー | 492.0万円 | 約41万円 |
トレーラートラック | 492.0万円 | 約41万円 |
タンクローリー乗務員 | 492.0万円 | 約41万円 |
運行管理者 | 480.0万円 | 約40万円 |
観光バス | 461.1万円 | 約38.4万円 |
フォークリフト | 456.8万円 | 約38.1万円 |
タクシー | 415.2万円 | 約34.6万円 |
バキュームカー運転手 | 399.8万円 | 約33万円 |
ルート配送 | 394.8万円 | 約32.9万円 |
宅配便配達 | 394.8万円 | 約32.9万円 |
引越作業員 | 394.8万円 | 約32.9万円 |
この表を見ると、観光バス運転手の年収は、運送関連職の中で中間に位置していることが分かります。
クレーンやトレーラー、タンクローリーといった特殊な技術・資格が必要な職種や、体への負担が大きい大型・長距離トラックよりは低い水準です。
一方で、同じ「旅客運送」であるタクシーよりはかなり高く、安定していることが分かります。
この年収差は、走行距離や勤務形態、必要免許の難易度などによって変化します。そのため、タンクローリーや大型・長距離トラックは平均収入が高くなる傾向にあります。
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観光バス運転手の給料内訳と仕組み

観光バス運転手の月収は、どのような内訳で構成されているのでしょうか。給与明細のイメージを掴んでおきましょう。
項目 | 内容 |
|---|---|
基本給与 | 月ごとに安定して支給される定額報酬。 |
残業手当 | 規定の勤務時間を超過した場合に発生する追加報酬。 |
各種手当 | 諸費用として支給される報酬。 |
賞与 | 会社の業績や個人の勤務評価に応じて、年1〜2回(または3回)支給される報酬。 |
観光バス運転手ならではの手当には、以下のようなものがあります。
- 運行手当(乗務手当): 1回の運行ごと、または走行距離に応じて支給。
- 宿泊手当: 宿泊を伴うツアーに乗務した場合に支給。
賞与は、会社の規模や業績によりますが、年間で基本給の1〜3ヶ月分が支給されるのが一般的です。
観光バス運転手が給料が安いと言われる理由
なぜ、観光バス運転手の給料が「安い」と言われてしまうのでしょうか。それには、観光バス特有の事情があります。
繁忙期や閑散期があり年収が変動する
最大の理由は、観光バスの仕事は「観光シーズン」に需要が大きく左右されるからです。
そのため、閑散期の月収だけを見ると、「思ったより稼げない」「安い」と感じてしまうのです。
しかし、重要なのは「年収」で考えることです。閑散期に収入が減っても、繁忙期にしっかり稼ぐことで、年間トータルでは平均461万円という水準に落ち着く、という働き方なのです。
手当が収入を左右する
前述の通り、観光バス運転手の給与は「手当」が占める割合が少なくありません。例えば、以下のような手当があります。
- 運行手当
- 残業代
- 宿泊手当
そのため、繁忙期の残業や、宿泊運行での手当など、しっかりと労働内容に応じた待遇を用意しているかを事前に確認することをおすすめします。
【独自調査】現役観光バス運転手の退職検討理由

観光バス運転手を志すにあたって、プレックスジョブ利用者に実際に聞いた退職理由と転職活動でそれを防ぐ方法をご紹介します。
労働時間と年収が比例しない場合がある
プレックスジョブ利用者で観光バス運転手から転職を希望される方の中に
「働き方に対して給与が見合っていない」
「給与が上がらない」
という声が多くあります。
また、ツアー内容次第にはなりますが宿泊を伴うこともある仕事ですので、
- 残業代や手当がしっかり出るか
- 見込み年収と残業時間はどれくらいか
- 自分にとって無理のない働き方か
上記の3点はよく確認しておきましょう。
お客様対応・安全管理のプレッシャー
プレックスジョブの利用者の中には、
「現職の運転で、狭い道や門の出入りにストレスを感じている」
という声もあります。人を乗せて大きな車体のバスを運転することは慣れていても状況によってはプレッシャーがあるようです。
揺れが少ない快適な運転はもちろん、お客様への丁寧な挨拶、急な渋滞時の状況説明、理不尽なクレームへの対応なども求められます。
また、転職後に思いがけないプレッシャーを受けないためにも、転職活動の際には、以下のようなことに注意しておく必要があります。
- コミュニケーションを密に取る必要はないが、完全に黙々とやるわけではないことは認識しておく
- 運行ルートに無理はないか面接で確認
繁忙期が忙しい
「給料が安いと言われる理由」でも触れましたが、繁忙期の忙しさは想像以上になることがあります。
- 翌日も忙しい場合、運転時間(法定内)+待機時間(お客様の観光中)+点検・清掃時間で、早朝から夜遅くまで丸一日がかりになるケースがある
- シーズン中は休日が週1日になったり、休日出勤が続いたりすることがある。
- 宿泊を伴うツアーが連続し、数日間家を空けることも
ただし、これはあくまで「繁忙期」の話です。閑散期には連休が取れたり、定時で帰れたりすることも多いため、「メリハリのある働き方」と捉えられるかどうかが鍵となります。
【独自調査】観光バス運転手の魅力・やりがい・希望する理由

ここまで、年収や「きつさ」といった現実的な側面を見てきましたが、もちろん観光バス運転手には、それを上回る大きな「やりがい」があります。
力仕事は避けて長く働ける
トラックドライバーの「手積み・手降ろし」といった力仕事に限界を感じている方にとって、観光バス運転手は「力仕事がほぼゼロ」という最大の魅力があります。
プレックスジョブの利用者でも、「身体の負担を減らしたい」という理由で転職先を探す方から、
- バス運転手(路線バスや観光バス)
- タクシー運転手
を希望する声は非常に多く挙がります。
「運転」という大型免許のスキルを最大限に活かしつつ、体力的な不安から解放される。
これは、長く働き続ける上で、何物にも代えがたいメリットです。
ノルマに追われることはない
観光バス運転手にノルマはなく、観光バス運転手の最優先ミッションは「お客様を安全に、スケジュール通りに目的地へお連れすること」です。
そのため、「あと〇〇件回らないと売上が」といった焦りやプレッシャーを感じる必要は一切ありません。安全運転と、お客様への快適な空間提供に集中できる環境です。
もちろん、時間厳守のプレッシャーや、安全運行の責任は常に伴います。しかし、それは「ノルマ」とは質の異なる、プロフェッショナルとしての「責任感」です。
観光地への運転が楽しそう
観光バス運転手ならではのやりがいを求めての転職を希望する方も非常に多いです。
プレックスジョブ利用者でも実際に、以下のような方がいらっしゃいます。
- 観光地に行くことに興味がある
- 企業送迎バスから観光バス運転手に転職してやりがいを得たい
- 観光バス運転手はキャリアアップのゴール
身体の負担を避けるためにバス運転手なら何でも良いという方も一定はいますが、ピンポイントに観光バス運転手を希望する方も多いです。
観光バスの運転手は、それだけユニークで魅力的な職種であると言えます。
観光バス運転手を目指す人からよくある質問

最後に、観光バス運転手への転職を検討する方からよく寄せられる質問にお答えします。
Q. 運転手として一番稼げる職業は?
A. クレーン運転手です。
「運送関連職の年収・給料を比較」の表でも示した通り、より専門的な技術や資格、あるいは高いリスクを伴う職種ほど、年収は高くなる傾向があります。
「年収」だけを最優先するならば、これらの職種も選択肢に入るかもしれません。
関連記事はこちらから:クレーンオペレーターの平均年収は?1000万稼げるのは本当?給料相場と収入アップの方法
Q. 観光バスのドライバーの収入は?
A. 全国の平均年収は461万円、月収換算で約38万円です。
ただし、これはあくまで平均値です。働く地域、会社の規模、繁忙期・閑散期の差によって、実際の収入は変動します。
Q. 日本一給料が高いバス会社は?
A. インターネット上では「阪急バス」という声が多いです。
ただし、ほとんどの企業はバス運転手単体ではなく他職種も交えた平均年収しか公開していません。そのため、実際の求人を見比べることが大切です。
参考として、阪急バスの中途運転士採用の求人を見てみると、1年目の見込平均年収が560万円(600万円も可能)となっています。
参考:阪急バス
Q. バス運転手の40代の年収は?
A. 40代の年収は約498万円です。
「年齢による年収の違い」で示した通り、バス運転手の年収は40代〜50代前半がピークとなります。
まとめ
今回は、「観光バス運転手の年収」をテーマに、トラックドライバーからの転職を考える40代男性の視点で、その実態を解説しました。
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