ブラックなイメージがある運送業界
運送業界というとあまり良いイメージを受けない方もまだいらっしゃるようです。運送業界はあまり良い印象を持たれておらず、どちらかというとブラックな印象があるのは、過去実際にキツイ仕事だったからでしょう。
例えば労働時間にしても長時間労働が当たり前だった時期も確かにありましたし、その割に賃金が安くて過酷な労働だった時代もありました。その悪いブラックな印象がそのまま現在まで影を引きずっているのかもしれません。
その影響もあってか、運送業界ではドライバーの高年齢化が進んでいて、本当であれば若い方がどんどん参入して欲しいところなのですが、若い方の就業率が現在でも低いという問題が起こっているのです。これは運送業界全体で起こっています。
トラック運転手の賃金が最低賃金を下回ってしまう理由
ここではトラック運転手として働いた時に、最低賃金を下回ってしまうのはどうしてなのかについてご紹介いたします。
歩合制
歩合制とは何?と思う方もいるかもしれませんが、トラック運転手の報酬の決め方に多いのが「歩合制」です。
一般的な歩合制というと仕事をとったらとっただけ報酬が上がるのですが、トラック運転手の場合は働いた日数で決まる事があります。
実は業種によっては天候が関係する事があるので、雨が続くと働く日数が少なくなるので報酬がそれだけ少なくなってしまう事があるのです。
今でこそ保障されている会社もありますが、過去にはそれが無かったため、時給換算すると最低賃金を下回ってしまう事も多かったのです。
もちろん歩合制であっても労働時間が短ければ問題はありません。ですが労働時間が長くなっての歩合制だと過酷な労働になってしまうので問題となります。
荷待ち時間
トラック運転手の仕事は荷物を運ぶ事です。でも荷物を運ぶためには荷物の積み降ろしをする必要があります。問題は荷物の積み下ろしの時の待ち時間です。
この荷待ち時間が長いと長時間労働になってしまい、結果的に時給換算すると最低賃金を下回ってしまう事になります。
過去には荷待ち時間は労働時間として認めない会社もあったので、トラック運転手にとっては辛い状況でした。
ですが、荷役作業・附帯業務の記録が義務化されたことで、改善が期待されています。
参考:https://www.plex-job.com/magazine/articles/3049/
トラック運転手の最低賃金について
どんな業種でも最低賃金というものがあります。トラック運転手の場合の最低賃金は他の業種と同じように、勤めている会社がある地域やどんな荷物を運搬しているのかによっても変わってきますし、期間によって違う事もあるようです。
令和6年改定の業種を問わず一律で定められた最低賃金を比較してみると、東京都の場合は1,163円、大阪では1,114円、愛知では1,077円、福岡では9,92円となっています。
トラック運転手の最低賃金計算方法

では最低賃金はどのようにして計算されているのでしょうか?その計算式がわかれば自分の最低賃金を割り出す事ができ、ベースアップの要求をする時などに活用する事もできますよね。
最低賃金を計算するいくつかの方法をご紹介いたします。
- 時間給制の場合:時間給≧最低賃金額(時間額)
- 日給制の場合:日給÷1日の労働時間≧最低賃金額(時間額)
- 月給制の場合:月給÷1カ月の平均労働時間≧最低賃金額(時間額)出来高制の場合:計算された賃金の総額÷総労働時間≧最低賃金額(時間額)
もしも上記のいくつかの組み合わせでお給料が決まっている場合には、それぞれ上記した計算式で時間額に換算して、算出した金額と最低賃金額と比較する事でわかります。
こんな運送会社は危ない!
ここではブラックな運送会社に就職しないようにするための注意点についてご紹介いたします。
求人が常に欠員募集

これは特別運送業に限った事ではありませんが、良い会社であれば一度募集をかけて人が集まってきた場合、募集広告の掲載を削除したりするものなのですが、中には常に求人情報を出している企業があります。
実はこうした会社はブラック企業である事が多いようです。募集して人が入ってきたとしてもすぐに辞めてしまうため、どうしても人が足らなくなってしまい募集をかけ続けるようです。
どのくらい前から掲載しているのかをチェックして避けるようにしましょう。
固定給部分が少ない
お給料の部分をチェックしてみましょう。もしも固定給部分が少ない会社だった場合は気を付けなくてはなりません。
なぜ危険なのかというと満足にお給料を得ようとしたら長時間労働しなくてはならないケースがあるからです。
一部歩合制を採用していると後から教えられても労働時間が長いだけで、体力的にも働いてもお給料が少ないという精神的な打撃が大きいです。歩合制の中身が魅力的でなければ、固定給部分が少ない企業への就職は避けた方が良いのです。
固定残業制度
固定残業制度なんて聞いた事が無いという方もいるかもしれませんが、これ実は荷待ち時間が長い企業に多い方法なのです。もしもこの固定残業制度を採用している企業の場合は、よくチェックしてみましょう。
全ての固定残業制度を採用している企業がブラックというわけではありませんが、中には荷待ちの時間の補償をしたくないというケースもあるので、
面接の前にどうして固定残業制度を採用しているのかを確認してみると間違いないでしょう。
さらに、残業代で稼ぎたいという方にはむしろ合わない制度かもしれません。
最低賃金以下で働いている時の対処法
ここではもしも自分が最低賃金以下で仕事をしているという事が分かったらどうすれば良いのかをご紹介いたします。
会社に相談
もしも自分が最低賃金以下で労働している事がわかったら、いくら良い会社であっても仕事への意欲がなくなってしまうでしょう。
良い会社で仕事を続けていきたいのならまずは最低賃金以下である事を会社に相談しましょう。もしかしたら会社の方も何か事情があるかもしれません。
まずは悩んでいないで会社に話をして、なぜ自分が最低賃金以下なのかを聞いてみる事です。
労働基準監督署
もしも会社に相談してみたけれど、納得がいかない説明を受けたとしましょう。そうなったら会社にいくら相談してもおそらく問題は解決しないでしょう。だからといってそのまま黙って従う必要はありません。
次に行動すべきなのは労働基準監督署に相談する事です。自分のお給料を計算してみたら最低賃金以下だったという事だけではなく、会社に相談してみた事も含めて相談すると良いでしょう。
労働基準監督署から会社に調査・指導など必要な対応をしてくれます。
転職

労働基準監督署に相談して注意を受けたとした場合、本当なら会社が悪いのですが相談した人を逆恨みする会社もあります。その場合はどうすれば良いのかというと転職をする事を検討されてみてもいいかもしれません。
せっかく慣れた仕事でお給料が上がって欲しかったとしても、針の筵状態になってしまう可能性もありますし、転職が一番手っ取り早いお給料の上げ方でもあります。
もっと効率が良くてお給料に満足できる会社を探す事をおすすめします。
改善傾向にあるトラック運転手のお金事情
ここまでのお話ではトラック運転手の仕事って賃金が安くて過酷な労働を強いられる、ブラックな仕事なのかな?なんて不安になってしまうかもしれませんが、
確かに過去にはそうした問題が意外と多かったものですが、現在ではそんなに多くはないのです。例えば行政からの指導を受けたり定期的な監査などを受けたりして、業務の改善やお給料アップなども行われてきています。
だからそんなに怖がる事なく自分がやりたいと思った仕事を探してみてはいかがでしょうか。
それに違法就労を行う会社はどんどん減ってきています。その理由にトラック運転手のなり手が少なくなってきているからというのもあるでしょう。
少しでも好条件にしないと人が集まらないので、業務改善を行う運送会社が増えているのです。
まとめ
今回はトラック運転手の最低賃金についてご紹介いたしました。自分のお給料が最低賃金かどうかを確認できなかった方も、
ぜひ計算式を活用して最低賃金かどうかを確認してみてはいかがでしょうか。この記事がお給料でお悩みの方のお役に立てれば幸いです。