なぜ「トラック運転手はやめとけ」と言われるのか?3つの背景

トラック運転手への転職を検討すると、周囲から「やめとけ」という否定的な意見を向けられる場面もあるでしょう。
これはトラック運転手の仕事がハードであるという理由だけでなく、業界を取り巻く複雑な事情が関係しています。
なぜ反対の声が強いのか、根拠となっている3つの背景を解説します。
①運送業界の先行き不安
トラック運転手の将来性を危惧し、やめとけと言われることも多いです。とくに、物流の形が大きく変わろうとしている現在、以下の懸念点が注目されています。
1.自動運転技術の進歩
よく耳にするのは「将来的にAIや自動運転に仕事が奪われるのでは?」という不安の声です。
確かにAIによる業務の効率化は進んでおり、現場でも最低限のITリテラシーがなければ、長く働き続けることが難しい時代になりつつあります。
しかし、実際には狭い道での走行や荷役作業、現場対応など、人の判断や経験が必要な業務は依然として多く残っています。日本でトラックの完全自動運転を実現するには、法整備やインフラ面など多くの課題が残っているのも現状です。
近い将来にトラック運転手の仕事がなくなる可能性は低いですが、漠然としたイメージから就職を止める方も多くいます。
2.2024年問題の影響
2024年以降、労働時間の上限規制により、走れば走るほど稼げる時代は区切りを迎えました。
歩合制を継続する会社でも、時間の制約がある以上、実質的には収入に上限が生じています。
トラック運転手が安定した収入を得るためには、企業の努力だけでなく、運賃適正化や賃金体系の改善といった国を挙げた支援が欠かせません。
こうした業界の将来に対する不透明感が、「トラック運転手はやめとけ」と言われる大きな要因となっています。
関連記事:トラック運転手の将来性について ~ 物流業界の過去・現在・未来の市場の傾向など
②世間体のイメージと偏見
コンプライアンスや接客マナーを重視する企業が増えていますが、かつての運送業界による荒っぽい人が多いというイメージは、今も根強く残っています。
こうした実態の変化に対し、世間の固定観念が追いついていないことが、周囲から反対される要因です。以下のような古くからの偏見によって「やめとけ」という声に繋がっています。
1.職種に対する誤解
誰にでもできる仕事、あるいは底辺の仕事といった誤った認識を持つ層が一定数存在します。
実際には高度な運転技術と判断力を要する専門職ですが、将来のキャリアが見えにくいというイメージから、周囲が不安を感じるケースがあります。
2.見た目やマナーへの先入観
「ガラが悪そう」、「怖そう」といった、かつての荒っぽいイメージが今も根強く残っています。殺伐とした職場で馴染めるのかという家族の心配が、転職を止める要因になることも少なくありません。
3.過酷な生活リズムへの懸念
サービスエリアでの寝泊まりや、不規則で不衛生な働き方しかないというイメージを持たれがちです。
実際のトラック運転手は日勤・地場配送など幅広い働き方がありますが、理解が広まっておらず「わざわざ苦労する道を選ばなくても良いのでは」という声に繋がっています。
③家族から見た不安が大きい
家庭を持っている場合、パートナーや子供に与えるリスクが大きいため、やめとけと言われることが多いです。
家族にとって、事故や健康リスクといった替えのきかない命への不安が、そのまま反対意見となって現れます。
①重大事故への不安
最も大きな懸念は、交通事故です。乗用車とは比較にならないほど大きな車両を扱うため、万が一の際の被害の大きさを想像し、命に関わる仕事は避けてほしいと願う心理が働きます。
②家庭での時間喪失
長距離配送や不規則な勤務により、家族との時間が削られることへの不安です。とくに子どもが小さいご家庭などは、パートナーと将来の生活スタイルを十分に話し合い、慎重に会社を選ぶ必要があります。
③健康面への心配
荷積み荷下ろしを行う場合は、肉体への負担も大きいです。また、夜勤や不規則な睡眠が続くことで、心身を壊す心配もあります。
300人にアンケート!トラック運転手が語るやめておけばよかった理由

プレックスジョブをご利用いただいたトラック運転手約300名を対象に、転職を考えた理由について調査を行いました(※1人1〜3項目回答)。
アンケートの結果、「トラック運転手はやめとけ」と言われる背景には、理想と現実のギャップが大きく関わっていることが浮き彫りになりました。
項目 | 件数 |
|---|
給与・待遇への不満 | 141件 |
|---|
労働時間が長い | 90件 |
|---|
体力的な負担 | 60件 |
|---|
会社への不信 | 38件 |
|---|
人間関係・社風があわない | 30件 |
|---|
プライベートとの両立が難しい | 23件 |
|---|
その他※ | 19件 |
|---|
※勤務地が定まらない・キャリアアップしにくいなど
1位:給与・待遇への不満
全体の約半数を占めたのは、給与や待遇に関する不満です。トラック運転手はやめとけという声の理由には、労働の対価が見合っていないと感じる構造にあります。
運転業務は深夜走行や重量物の積み降ろしなど、身体へ負荷がかかる肉体労働です。しかし、大型トラック運転手でも平均年収は491.9万円とされています。
心身を削って働いてもそれに見合うリターンが少ない現状が、トラック運転手を後悔する要因となっています。
【トラック運転手の声】
15~16時間勤務で週1日休み、それでも手取り30万円前後です。働いている時間に対して給料が見合っていないように思います。
現在のトレーラー運転手としての年収が400万円程度と低く、土日休みではあるものの、責任に見合わないと感じています。高収入(50万〜60万)のために土日も働くというよりは、安定した給料と休みがほしいです。
▶それでもトラック運転手になるメリットはある?詳しい解説を読む(クリックでスクロールします)
関連記事:大型トラック運転手の平均年収はいくら?手取りや地域差・仕事内容での違いを解説
2位:労働時間が長い
トラック運転手は労働時間が長くなりやすい仕事です。
荷主の都合で発生する数時間の待機(荷待ち)や、渋滞による予期せぬ遅延が日常的に発生します。
自分の頑張りではどうにもできない理由で拘束時間が延び、私生活の予定が立てられないストレスがあると言えます。
会社や荷主のスケジュールに24時間振り回される生活になり、メンタル的な自由が失われることが「やめとけ」と言われる大きな理由です。
【トラック運転手の声】
20時間以上、長時間の拘束時間があります。稼ぎはいいものの、労働環境を改善しなくては長期終業は難しいです。
休憩なしで12~13時間勤務が続いており、肉体的にも負担が大きいです。帰宅が深夜1時近くになり、妻が起きて待っている状況にも申し訳なさを感じています。定年も近いため、残りのキャリアをより良い環境で過ごしたいです。
▶それでもトラック運転手になるメリットはある?詳しい解説を読む(クリックでスクロールします)
関連記事:トラック運転手の1日の流れはどんな感じ?大型トラック(長距離・短距離)運転手の1日の仕事を紹介!
3位:体力的な負担
トラック運転手は、体力的な負担がある仕事です。
不規則な睡眠や、長時間の座りっぱなしによる腰痛、さらに手積み作業などが重なり、身体が重い状態でハンドルを握ることもあります。
年齢を問わず、リカバリー能力が追いつかなくなる現実に直面し、長期的に就業できるか見通しが難しいことで「やめとけ」と後悔する声が多く聞かれます。
【トラック運転手の声】
12時間の長時間労働に加え、休憩が取れません。会社に状況を伝えても改善が難しい現状があります。手積み手降ろしや仕分け作業も行っているため、疲労が蓄積し、運転中に事故を起こすかもと不安です。
腰を痛めた経験があり、現在のコース変更で手積み手降ろしが増えたことにより腰痛が悪化してしまいました。カゴ車配送への変更も会社判断になるので即時対応できず、転職を検討しています。
関連記事:トラック運転手の1日の流れはどんな感じ?大型トラック(長距離・短距離)運転手の1日の仕事を紹介!
それでもトラック運転手になるメリットはある?

「トラック運転手はやめとけ」という声もありますが、トラック運転手には、他の仕事にはない自由さや達成感、そして社会基盤を支える安定感があります。
トラック運転手になるメリットは以下の3つです。
①一人の時間が多く、気を使わず働ける
運転中は頻繁なコミュニケーションを必要としないため、一人の時間を大切にしたい方にはぴったりな環境です。
対人関係のストレスが少なく、業務に集中しやすい点は大きなメリットといえます。
とくに長距離ドライバーの場合、車内を自分好みにカスタマイズすることを認めている会社も少なくありません。
お気に入りの空間でリラックスしながら、自分のペースで仕事に向き合うことができます。
②働き方によって高収入が得られる
労働環境の改善が進みながらも物流需要は高く、個人の頑張りが給与に反映される歩合制を活かして稼げる基盤が整っています。
たとえば、長距離配送や特殊車両の運転スキルを磨くことで、年収600万円以上の高収入を実現することも可能です。
自身の専門性を高めることが、収入アップへ繋がる点は、トラック運転手ならではの大きな魅力です。
関連記事
ダンプ運転手の給料・年収はいくら?収入の実態と稼ぎ方を徹底解説
バキュームカー運転手の給料・年収は?安いって本当?稼ぐコツまで解説
タンクローリー運転手の平均年収は491万円!給与アップする資格や給料相場を徹底解説
③将来的にもなくならない仕事
物流は人々の生活を支える不可欠なインフラであり、食品や日用品の運搬が完全に止まることはありません。
景気の変動に左右されにくく、常に一定の需要がある点は、職業としての大きな強みです。
今後、AI技術による効率化が進んでも、狭い路地での荷下ろしや現場での臨機応変な判断には、人の技術と経験が欠かせません。
自身の体調管理に気を配り、安全運転を積み重ねることで、定年まで長期的にキャリアを築ける職種といえます。
トラック運転手への就職を後悔しない!自己分析リスト

トラック運転手への転職で失敗する人の多くは、現在の不満から逃れることばかりに意識が向き、運送業界の過酷な側面が見えていない場合があります。
後悔しないためには、以下の自己分析を行い、自分の価値観とトラック運転手の仕事が合っているか照らし合わせてみましょう。
なぜ「運送業界」で働きたい理由を明確にする
数ある職種の中からなぜ運送業界を選ぶのか、動機を深く掘り下げてみましょう。
たとえば「一人が好きだから」という理由だけでは、想定外の長時間拘束や厳しい納期管理に直面した際、意欲を維持し続けることが難しくなるからです。
誰にも邪魔されない時間が確保できる一方で、トラブル発生時には一人で判断し、対処する責任が伴うことも忘れてはいけません。
運転そのものが好きなのはもちろん、「この仕事だからこそ頑張れる」という明確な軸を持つことが、きつい時期を乗り越える確かな支えとなります。
自分が譲れない「労働条件」を整理する
トラック運転手の働き方は、運ぶ荷物や走行距離によって生活リズムが大きく変わります。
自分が何を最優先とし、何を妥協できるのかを言語化しておくことが、ミスマッチを防ぐ最大の防衛策です。
たとえば、毎日自宅に帰りたいなら地場配送、家を空けても高収入を狙いたいなら長距離配送など、理想の生活スタイルと照らし合わせて検討しましょう。
職種 | 良いポイント | きついポイント |
|---|
長距離ドライバー | ・全職種の中で最も高収入が狙える ・一人の時間が長く、対人ストレスが少ない ・移動そのものを楽しめる人には最適 | ・拘束時間が長く、帰宅できない日が多い ・走行距離が長く、疲労が蓄積しやすい ・深夜・早朝運行が多く、生活リズムを保ちにくい |
|---|
中距離・地場ドライバー | ・毎日自宅に帰れ、家族との時間を確保できる ・走行距離が適度で、体力的・精神的なバランスが良い ・拠点間の往復が多く、仕事を覚えやすい | ・渋滞などを考慮したシビアな時間管理が必要 ・積み下ろし作業の頻度が多く、体力を消耗しやすい ・休憩時間が短くなりがち |
|---|
ルート配送ドライバー | ・未経験から挑戦しやすく、雇用が安定している ・決まったコースを走るルーチンワークで働ける ・残業が比較的少なく、生活リズムを保ちやすい | ・納品スケジュールが厳しく、時間に追われやすい ・コンビニ等向けは積み下ろし回数が非常に多い ・運転職の中では給与水準が控えめ |
|---|
また、安定した固定給を求めるのか、成果が反映される歩合制を追求したいのか、給与構成の希望も整理しておきましょう。
どう成長していきたいかをイメージする
トラック運転手として、将来のキャリアステップを具体的に描くことが大切です。目的意識のないまま入職すると、体力の衰えとともに仕事が辛くなるリスクが高まります。
成長のイメージには、以下のようなものがあります。
- 大型免許を取得して希少価値の高いプロの運転手を目指す
- 運行管理者の資格を取得して専門性を高めつつ、体力負担が心配になる前に管理職へステップアップする
将来のビジョンが明確であれば、日々の業務も単なる労働ではなく、目標達成のためのステップへと変わります。
こんな運送会社はやめとけ!4つのチェックポイント

後悔しない転職を叶えるためには、求人情報や面接の段階で、会社の姿勢を正しく見極めることが大切です。
とくに以下の4点は、入社後の満足度を大きく左右するので、チェックしておきましょう。
求人内容や面接の説明が「稼げる」ばかりで不透明
求人票に「高月収」などの魅力的な言葉が並んでいても、内訳が不明確な会社には注意が必要です。
稼げることばかりを強調し、拘束時間や具体的な労働条件の説明を濁す会社は、過酷な長時間労働を前提に給与を補填している可能性があります。
とくに基本給が極端に低く設定されており、膨大な残業代を含めて高給に見せかけていないか、面接時にしっかり確認しましょう。
休憩時間や荷待ち時間(待機時間)を含めた1日のスケジュールをしっかり提示してくれるかどうかが、入社後の後悔を防ぐための見極めポイントです。
車両や営業所の清掃・整備が行き届いていない
会社の安全性や誠実さは、設備の管理状態に現れるものです。面接で会社を訪れた際は、トラックの外観や事務所の様子を観察してみてください。
車両の整備や清掃を後回しにする環境は、知らず知らずのうちに安全意識を下げ、事故を招くきっかけになりかねません。
また、事務所が整っているかは、管理体制が機能しているかの目安になります。清掃や整備が行き届いているかを、安心して働ける環境かを見極める材料にしてください。
手積み手降ろしの有無や条件が曖昧
肉体的な負担を左右する荷役(にやく)の条件が曖昧な場合は注意が必要です。
たとえば、荷役の有無を尋ねて「現場による」としか答えてもらえない場合、すべての工程を人力で行う過酷な業務が中心になっている可能性もあります。
面接では、身体への負担が少ないパレット積みなのか、ひとつひとつ手で運ぶバラ積みなのか、質問してみてください。
また、積み降ろし作業に対して付帯作業手当などが適切に支給されるかも、長く安心して働くための大切なポイントです。
2024年問題への具体的な対応方針がない
2024年問題に対して具体的な対策を講じていない会社は、労働環境と賃金が見合っていない可能性があります。
面接では「制度の変化を受けて、勤務体制や給与体系がどう変わったか」を確認してみましょう。
労働時間の短縮に合わせて、中抜き(待機時間)の削減や賃金体系の見直しに取り組んでいる会社なら、将来への安心材料になります。
対策が不透明なままでは、入社後に収入が不安定になるリスクもあります。長く腰を据えて働くために、会社のこれからの姿勢をしっかり確認しておきましょう。
後悔しない!トラック運転手への転職3ステップ

「トラック運転手はやめとけ」という言葉に惑わされず、納得のいく転職を実現するには戦略的な準備が必要です。
勢いで入社を決めず、自身のライフスタイルとトラック運転手の仕事が合っているのか、3つのステップで確認しましょう。
①自己分析で「譲れない条件」を絞り込む
自分が仕事に求める優先順位を明確にすることで、転職後のミスマッチを防ぎましょう。
トラック運転手の働き方は、運ぶ荷物や距離によって生活サイクルが劇的に変わるため、軸が定まっていないと入社後に後悔するリスクが高まります。
毎日家族と過ごす時間を重視するのか、拘束時間は長くても高収入を狙うのか、自分の価値観を言語化してください。
条件に対しての優先順位が決まれば、自分にぴったりな求人を選び取れるようになります。
②複数の求人を比較して「条件の違和感」に気づく
複数の求人条件を比較し、業界の標準的な相場を把握することが重要です。多くの事例を見ることで、条件の不自然さや隠れたリスクを客観的に判断できるようになります。
たとえば、給与の高さのみを強調し、労働時間や休日などの詳細が曖昧な企業は、入社後に想定外の負担が生じる可能性があります。
求人の比較は、優良企業を見極めるためのシンプルかつ効果的なリスク管理となります。
③転職エージェントを活用して「内部の実態」を確認する
より現場に近い働き方を知るために、業界に精通した転職エージェントを活用しましょう。
エージェントは各社の離職率や社風など、求人票には載らない内部情報を把握しているため、企業理解を深めることが可能です。
また、企業には直接聞きづらい残業実態や福利厚生についても、第三者の視点から回答を得られます。
たとえば物流業界に特化したプレックスジョブでは、以下のサポートを完全無料で提供しています。

「まずは話を聞いてみたい」という段階でも利用可能です。ミスマッチを防ぎ、転職をスムーズに進めたい方は、ぜひプレックスジョブへご登録ください。
まとめ
「トラック運転手はやめとけ」という声があるのは事実ですが、その多くは自分に合わない環境を選んでしまったことによる後悔です。
給与・労働時間・体力的な負担といったきつさの側面を理解した上で、リスクを最小限に抑えられる会社を選べれば、トラック運転手として長く活躍できます。
もし、仕事の内容をより深く知りたい方や、会社選びで失敗したくないと感じる方は、エージェントサービスの活用を検討してみてください。
エージェントは求人票だけでは見えない内部情報を持っており、あなたの希望に寄り添ったマッチングをサポートしてくれます。
新しい挑戦には不安がつきものですが、正しい準備があれば大丈夫です。ぜひトラック運転手の魅力を知り、転職を検討してみて下さい。