高圧ガス製造保安責任者について
高圧ガス製造保安責任者の9区分
高圧ガス製造保安責任者は大きく分けると「化学・機械」の分野と「冷凍機械」の分野に分かれます。
「化学・機械」の分野では、
- 甲種化学責任者
- 甲種機械責任者
- 乙種化学責任者
- 乙種機械責任者
- 丙種化学(特別試験科目)責任者
- 丙種化学(液化石油ガス)責任者
となっており、甲種がもっともランクが上で、扱える幅が広くなっています。
「冷凍機械」の分野では、
- 第1種冷凍機械責任者
- 第2種冷凍機械責任者
- 第3種冷凍機械責任者
に分かれており、第1種がもっとも幅広く扱えるようになっています。
高圧ガス製造保安責任者の合格ライン

受験する試験によって難易度はもちろん違っていますが、合格基準は同じように設定されています。基本的には受験した科目で60%程度の正解率があれば合格できるようになっています。
60%が簡単かどうかは受け止め方は違ってきますが、「甲種」や「第1種」の試験は試験範囲も広くなっていますので、準備がしっかりと必要となります。
高圧ガス製造保安責任者の受験資格と試験日
高圧ガス製造保安責任者の国家試験は2025年度に関してはまだ試験日などが公表されていません。
参考として2024年度は電子申請の受付が「2024年8月19日午前10時」から「2024年9月4日午後5時」までとなっていました。
そして筆記試験が「2024年11月10日」に行われました。合格発表は翌年の1月です。
試験場所は、「甲種化学、甲種機械、第一種冷凍機械」に関しては大臣試験のため、北海道、宮城、東京、愛知、大阪、広島、香川、福岡、沖縄
「乙種・丙種化学、乙種機械、第二種冷凍機械、第三種冷凍機械」などについては知事試験のため全国約50ヶ所で試験が行われています。
特に受験資格は定められておらず申し込みをすれば受験はできるのですが、すでに合格している資格によって試験免除があります。
甲種化学責任者・甲種機械責任者
甲種化学責任者・甲種機械責任者とは
こちらは石油化学コンビナートなどの高圧ガス製造事業所で高圧ガスの製造に関係する保安業務を行うのに必要な資格です。
保安技術管理者や保安主任者などに選任されてすべての製造施設の保安を扱うことができます。
試験内容
- 法令(択一式)
- 保安管理(択一式)
- 学識(記述式)
という試験内容となっています。
甲種化学責任者・甲種機械責任者の合格率
合格率は以下の通りです。
- 甲種化学
実施年 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|
2024年 | 853 | 453 | 53.1% |
2023年 | 954 | 609 | 63.8% |
2022年 | 1,068 | 659 | 61.7% |
- 甲種機械
実施年 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|
2024年 | 1,349 | 572 | 42.4% |
2023年 | 1,340 | 719 | 53.7% |
2022年 | 1,541 | 868 | 56.3% |
乙種化学責任者・乙種機械責任者
乙種化学責任者・乙種機械責任者とは
甲種の場合と同じく高圧ガス製造事業所で高圧ガス製造保安業務を行います。
扱う高圧ガスの種類による制限などはありませんが、製造施設の規模によって保安技術管理者に選任される場合のみ制限される場合があります。保安主任者や保安係員に関しては制限はありません。
試験内容
- 法令(択一式)
- 保安管理(択一式)
- 学識(択一式)
乙種化学責任者・乙種機械責任者の合格率
- 乙種化学
実施年 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|
2024年 | 2,380 | 938 | 39.4% |
2023年 | 2,315 | 964 | 41.6% |
2022年 | 2,400 | 1,060 | 44.2% |
- 乙種機械
実施年 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|
2024年 | 4,788 | 1,715 | 35.8% |
2023年 | 4,815 | 1,787 | 37.1% |
2022年 | 4,923 | 2,074 | 42.1% |
丙種化学(液化石油ガス)責任者
丙種化学(液化石油ガス)責任者とは

主にLPガス充てん事業所、LPガススタンドなどのLPガスの製造に関する保安や実務的な業務を行うための資格です。
製造施設の規模によって保安技術管理者に選任されるのには制限がありますが、保安主任者や保安係員に選任される場合にはLPガスに限り制限はありません。
試験内容
- 法令(択一式)
- 保安管理(択一式)
- 学識(択一式)
丙種化学(液化石油ガス)責任者の合格率
- 丙種化学(液化石油ガス)
実施年 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|
2024年 | 2,996 | 1,028 | 34.3% |
2023年 | 3,184 | 1,340 | 42.1% |
2022年 | 3,286 | 1,184 | 36.0% |
冷凍機械責任者
冷凍機械責任者とは
冷凍空調機器を備えている施設、冷凍倉庫、冷凍冷蔵工場などにおいて冷凍に関わる保安実務を行うための資格です。
「第1種」であればすべての製造施設を、「第2種」であれば1日の冷凍能力が300t未満の製造施設を、「第3種」であれば1日の冷凍能力が100t未満の製造施設で勤務することができます。
試験内容
第1種冷凍機械責任者
- 法令(択一式)
- 保安管理(択一式)
- (記述式)
第2種冷凍機械責任者
- 法令(択一式)
- 保安管理(択一式)
- 学識(択一式)
第3種冷凍機械責任者
- 法令(択一式)
- 保安管理(択一式)
冷凍機械責任者の合格率
- 第1種冷凍機械
実施年 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|
2024年 | 1,152 | 599 | 52.0% |
2023年 | 1,148 | 691 | 60.2% |
2022年 | 1,411 | 903 | 64.0% |
- 第2種冷凍機械
実施年 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|
2024年 | 2,285 | 934 | 40.9% |
2023年 | 2,559 | 1,155 | 45.1% |
2022年 | 2,976 | 1,365 | 45.9% |
- 第3種冷凍機械
実施年 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|
2024年 | 8,993 | 3,981 | 44.3% |
2023年 | 9,487 | 4,497 | 47.4% |
2022年 | 9,731 | 3,149 | 32.4% |
高圧ガス製造保安責任者の講習・検定
講習・検定の内容
高圧ガス保安協会が行っている講習を受講して技術検定に合格した者は試験の一部が免除されて法令科目のみの受験となります。
また、別の種類の高圧ガス製造保安責任者試験に合格していると試験科目の一部が免除される場合があります。免除に関しては、
- 甲種化学
甲種機械免状所有者は、法令が免除
製造第一講習修了者(昭和41年9月30日以前)は、保安管理技術が免除
甲種化学講習修了者は、保安管理技術及び、学識が免除
甲種機械取得者で甲種化学講習修了者は、全科目免除 - 甲種機械
甲種化学取得者は、法令が免除
製造第四講習修了者(昭和41年9月30日以前)は、保安管理技術が免除
甲種機械講習修了者は、保安管理技術及び、学識が免除
甲種化学取得者で甲種機械講習修了者は、全科目免除 - 第一種冷凍機械
製造第六講習修了者(昭和41年9月30日以前)は、保安管理技術が免除
第一種冷凍機械講習修了者は、保安管理技術及び、学識が免除 - 乙種化学
甲種機械取得者または、乙種機械取得者は、法令が免除
製造第二講習修了者(昭和41年9月30日以前)は保安管理技術が免除
乙種化学講習修了者は保安管理技術及び、学識が免除
甲種機械取得者で乙種化学講習修了者は、全科目免除
乙種機械取得者で乙種化学講習修了者は、全科目免除 - 乙種機械
甲種化学取得者または、乙種化学取得者は、法令が免除
製造第五講習修了者(昭和41年9月30日以前)は保安管理技術が免除
乙種機械講習修了者は保安管理技術及び、学識が免除
甲種化学取得者で乙種機械講習修了者は、全科目免除
乙種化学取得者で乙種機械講習修了者は、全科目免除 - 丙種化学(液石)
製造第三講習修了者(昭和41年9月30日以前)は保安管理技術が免除
丙種化学(液石)講習修了者は、保安管理技術及び、学識が免除 - 丙種化学(特別)
丙種化学(特別)講習修了者は、保安管理技術及び、学識が免除 - 第二種冷凍機械
製造第七講習修了者(昭和41年9月30日以前)は保安管理技術が免除
第二種冷凍機械講習修了者は、保安管理技術及び、学識が免除 - 第三種冷凍機械
第三種冷凍機械講習修了者は、保安管理技術が免除
となっています。
講習・検定を受講した人の合格率
例えば2024年の甲種化学責任者の試験を全科目受験した場合は合格率が18%ほどしかありません。法令免除を受けると30%ほどに上がり、2科目免除になると80%ほどにまで合格率が上がります。
そのため、講習を受けている人、他の種類の資格を持っている人が圧倒的に有利になるのです。
まとめ

高圧ガス製造保安責任者の資格を持っていると高圧ガスを扱う会社への就職や転職が非常に有利になります。
国家試験ですので簡単な試験ではありませんが、ぜひ取得を目指していきましょう。



















